率直に思った疑問であった
ガチャッ
恐る恐る家のなかにはいると思った通り家族は誰一人いなかった
安堵とともに腰の力が抜けてその場にへたり込む
今いなくてもいつ帰ってくるか分からない
鳥居くんは最寄りの公園で待ってるし早く荷物まとめて逃げなきゃ
そう思い部屋の中にあるコツコツ貯めた貯金箱を探していた
ガチャッ
嫌な音がした
帰ってきた
どっちだ?どっちが帰ってきた、?
『あなた?いるの?』
母だ
靴を隠しておけばよかった
トットットッと、足音が聞こえる
半袖の服の上からこの前作られたアザを撫でる
冴えない、意気地のない私から、抜け出さなきゃ
私は部屋にあった___をもって扉の前に構える
そう言い放ち、私の母は私の手から破片を無理やり奪い取った
トラウマを植え付けた張本人に今さら対抗することもできず、私はされるがままに破片を奪われてしまった
どうしようどうしよう
どうすれば
どうすれば救われる、?
いや、いやだ
私は無理やり声を張り上げて涙目になりながら荷物を片手に母を押しのけて逃げ出した
その時、母の持っている破片が私の腕を引き裂いた
痛いけど、こんなのか擦り傷だ
母は追ってこようとしたけど現役高校生の私に足の速さで勝ることなどできず、私は逃げ切ることができた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!