一夜の内に一部の離月の場所で魔物が消滅した。
そこでは、地脈の乱れによって凶暴化かつかなりの数がいたが、何故かぽっかりと穴が空いたように何も無くなっていた。
もしかしたら、新たに強い魔物が現れたと考えると、放って置いたら離月に被害が出るかもしれない。
そう考えた岩神は、自らその場所へ向かった。が、そこにあったのは、生い茂る木々と何かの布の塊だけだ。、、、、?
訳のわからないまま、恐る恐る近づいてみると、それが服なのだと分かった。上着の部分はもっこりとしていて、中に何かがいた。観察してみると、かすかに動いているのが分かった。
勇気を出して上着をめくると、そこから夕焼け色の艶みのある毛玉がでてきた。
刺激を与えてしまい、毛玉が動き出した。
びっくりして、服から手を離してしまった。服の隙間から小さな手が伸ばされる。その手は獣の様な手ではなく、人の形をしていた。
ますます混乱する岩神だか何もせずにただそれの観察を続けた。
パタリ、伸ばしていた腕が落ちた。
しばらくしても、動く気配もない。
岩神はハっとし、急いで近くの水辺に水をくみにいった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!