第4話

# 2
66
2026/03/30 02:41 更新












トガヒミコ .
  ただいまなのです !!  







  
  古びた建物の扉を バタン と開け 、 トガは明るく声を響かせた 。


  暗く 、 沈んで重たい空気が一気にあなたに押し寄せる 。













  少しの音でも 、 かなりの音で建物内に響いた 。


  足音が反響し 、 耳に届く 。






.
  … 拾ってきたのか ?  






  ボロボロになったソファにだらりと腰掛け 、 雑誌のようなものを手に持っていた男が 、 あなたとトガを交互に見比べる 。











  黒いコ ー トのようなものを羽織り 、 顔は火傷だらけ 。


  気だるげで 、 どこか眠たそうな目をこちらに向ける 。








トガヒミコ .
  うん 。
とってもかぁいいの


.
  … へぇ  






  火傷の男はポツリと返事をし 、 また雑誌に視線を戻した 。


  別に 、 “ なんともない ” というように 。















  その 、 “ なんともない ” というような雰囲気は 、 あなたの心を落ち着かせた 。


  怖がられず 、 拒まれることもない 。








.
  … おまえ 、 名前は  







  先ほどの男が 、 今度はちゃんとあなたの方を向いて聞いてきた 。


  低い声が 、 あなたの耳に届く 。




あなた
  … 血代 。 血代 、 あなた  


.
  そうか  






  それだけ言うと 、 また視線を戻した 。











  トガが横から口を挟み 、 火傷の男に言う 。




トガヒミコ .
  あなたちゃんねぇ 、 ちぃ使うの  
トガヒミコ .
  それに触るとね 、 全部終わっちゃうんだって !!  
トガヒミコ .
  いいでしょ ?  





  トガは明るく言った 。


  怖がることもせず 、 ただ楽しそうに 。












  その言葉に 、 空気が変わる 。


  男は目を細め 、 あなたを見た 。





.
  へぇ … おもしれぇじゃん  









  あなたの体に 、 視線が刺さる 。


  不思議と 、 恐怖はない 。















  自身の個性を話して 、 怖がられないことは初めてだった 。


  今まででは 、 友達も 、 知り合いも 、 家族でさえも 、 全員逃げられてきたから 。





.
  使ってみろよ 、 それ  









  不意に 、 別の男が奥から出てきた 。


  手をポケットに突っ込んだまま 、 気だるげに近づいてくる 。





トガヒミコ .
  あっ 、 弔くん  






  トガに “ 弔くん ” と呼ばれた男は 、 ギロリとあなたを見る 。


  トガは楽しそうに笑った 。




トガヒミコ .
  やってみよ ー よ 、 あなたちゃん  
トガヒミコ .
  見せた方が早いよ  






  たちまち 、 あなたに視線が集まる 。


  手のひらを見れば 、 血が溜まっている 。


  赤は 、 形を変えつつあった 。





あなた
  … じゃあ 、 少しだけ  








  そう言い 、 近くにあったパイプ椅子にそっと触れた 。


  赤い血が椅子に触り 、 じわりと形を変えた 。














  そして 、 椅子は崩れていった 。


  ヒビが入り 、 内側から壊れていくように 。











  少しの音もなく 、 形を失う 。


  数秒後には 、 そこには跡形もなく椅子はなくなっていた 。


  完全に崩れ落ち 、 そこには椅子だったものが塵になって残っている 。









  あなたはゆっくりと手を引いた 。


  そして 、 顔を上げる 。












  少しの静寂があった後 、 火傷の男が口を開いた 。




.
  … いいじゃねぇか  
.
  使えそうだ  










  拒絶じゃない 。 初めてもらった 、 あなたに対する評価と価値 。






死柄木弔 .
  それ 、 いい個性だな  
死柄木弔 .
  欲しい  










  “ 弔くん ” は崩れた椅子を見下ろしながら 、 あなたに視線を向けた 。


  その眼に映っていたものは 、 純粋な興味と欲 。










死柄木弔 .
  ここにいろよ  







  理由も条件もない 。


  ここには 、 “ やめろ ” も “ 来るな ” もない 。


  ただ 、 “ 存在する意味 ” がある気がした 。





あなた
  … うん  







プリ小説オーディオドラマ