懐かしいものを見ていた気がする。
すごく、記憶の奥底にありそうな懐かしいもの。
話した人は誰なのかわからない。
顔ははっきりと見えていないけれど、
声色や口元の動きからわかる、その子の心情。
心からしんどそうで、辛そうで、泣き出しそうな。
なんだか、その人に大切なことを教わった気もする。
今更なんで、こんなものを見るのだろうと思う。
その答えは、すぐに出てきた。
生き物が死ぬ間際に、今までのことを振り返ること。
こんなもの見てしまうのも仕方がない。
こんなに寒い場所にずっといるんだから。
生きてきた中で、ろくなことなんて一つもなかった。
親は話も聞かない、私を気にかけようともしない。
友達は1人もいない。頼れる大人もいない。
大切だった人も、早々に死んだ。
唯一、好きだと思えた人とはずっと一緒にいられなかった。
最後に、願いが叶うのであれば
神様、お願いです。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!