私達は決して同棲をしている訳では無い。
私の家はアパートで1DKの賃貸。
櫂は私の家から徒歩10分程歩いた所で暮らしている。
登校途中だからと、毎朝毎朝飽きもせず迎えに来る。
私の名前は來溪 蒼空(ライタニ ソラ)。
16歳。
私と櫂は幼馴染。
'Angel Town'という施設で育った。
いわゆる、孤児だ。
私は3歳の頃のある夜に、施設の前に寝てるうちに置き去りにされたらしい。
朝方、院長が掃除をしようと表に出ると、塀に持たれかかる様にして寝かされていた所を発見されたらしい。
それ後、院長の好意により、私はそのままその施設に入所となった。
櫂は最初他の施設にいた。
Angel Townに来たのは7歳の頃だった。
最初の施設では暴れ回る問題児で、手を焼いていた時に院長が引き取って来た。
櫂も両親に捨てられたらしい。
瞳の色が原因で、両親が喧嘩ばかりになり、離婚。母親が櫂を虐待。父親も引き取りを拒否した為、施設入所となった。
まだ生後10ヶ月だったらしい。
今は私と同じく、一人暮らしをしてる。
校門が見えてきた。
いつもの様に髭を生やし、少々腰が曲がっている為か杖をついた理事長が立っていた。
理事長に会釈をして、校門を跨ごうとした時だった。
聞き慣れた高い声が聞こえた。
キラキラした笑顔が走って来る。
朝から超元気だな。
私達はそのまま教室に向かった。
彼女の名前は汐留 澪(シオドメ ミオ)。
私達と同じ施設で育った幼馴染。
澪は8歳の頃、両親を交通事故で亡くし、引き取り手が無く、施設入所となった。
澪も今は一人暮らしをしてる。
前の席の澪は席に座った瞬間から後ろを向いた。
手を合わせて、頭を下げてくる。
正直、私達は国からの助成金と、院長からの仕送りがある。
だから、高校3年間はそれなりの生活は、できる。
バイトをするとちょっとくらいは贅沢できる程の暮らしだ。
私は澪に誘われて、1ヶ所バイトしている。
最近までもう1ヶ所していた。
澪がすぐに辞めた為私も6ヶ月程で辞めた。
私の手を握り、目を輝かせる。
教室に入ってすぐからクラスの女子に囲まれていた櫂がやっと帰ってきた。
意外とモテるらしい。
学年男子1位の成績で、小顔にタレ目の大きめの目に、薄い唇。
スポーツ万能で、中学の時はバスケ部に所属し3年の時は部長だった。
容姿端麗、文武両道という、女子にモテるには十分すぎる男だ。
機嫌が悪いご様子で、澪を少し睨んだ。
思い出した様にこちらを見てそう言った。
今日は月に1度の施設に顔を出す日。
Angel Townの様な施設のほとんどが高校に上がると同時に施設を出て一人暮らしを始める。
私達も中学卒業と同時に、一人暮らしを始めた。
施設の決まりで、頻繁に来るのは禁止。
来るなら月に1回だけ。その日も院長が指定する。
自立を図る為だとか。
そして今日が院長の指定日。
澪と櫂が笑いながら話してる。
その2人を横目に私は窓の外に広がる青空を見上げた。
これが、私達の日常。
私達は、小さい頃からずっと一緒にいる。
小学校も中学校も、受けた高校も同じで皆受かった時はほんとに嬉しかった。
親がいないという、心に同じ傷を持つ私達だけど、同じ傷を持つからこそ、皆と居れば笑って幸せだって言える。
こんな毎日が続きます様に……────
日常 - end -















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。