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2018/05/31

第2話

-日常ⅱ-
私達は決して同棲をしている訳では無い。
私の家はアパートで1DKの賃貸。
櫂は私の家から徒歩10分程歩いた所で暮らしている。

登校途中だからと、毎朝毎朝飽きもせず迎えに来る。
私の名前は來溪 蒼空(ライタニ ソラ)。
16歳。
私と櫂は幼馴染。
'Angel Town'という施設で育った。
いわゆる、孤児だ。

私は3歳の頃のある夜に、施設の前に寝てるうちに置き去りにされたらしい。
朝方、院長が掃除をしようと表に出ると、塀に持たれかかる様にして寝かされていた所を発見されたらしい。
それ後、院長の好意により、私はそのままその施設に入所となった。


櫂は最初他の施設にいた。
Angel Townに来たのは7歳の頃だった。
最初の施設では暴れ回る問題児で、手を焼いていた時に院長が引き取って来た。

櫂も両親に捨てられたらしい。
瞳の色が原因で、両親が喧嘩ばかりになり、離婚。母親が櫂を虐待。父親も引き取りを拒否した為、施設入所となった。
まだ生後10ヶ月だったらしい。

今は私と同じく、一人暮らしをしてる。
校門が見えてきた。

いつもの様に髭を生やし、少々腰が曲がっている為か杖をついた理事長が立っていた。
理事長に会釈をして、校門を跨ごうとした時だった。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
そーらー!!!!
聞き慣れた高い声が聞こえた。
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
澪だ。
キラキラした笑顔が走って来る。

朝から超元気だな。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
おはよ!蒼空!櫂!
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
おはよ。
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
おっはー!澪。
私達はそのまま教室に向かった。

彼女の名前は汐留 澪(シオドメ ミオ)。

私達と同じ施設で育った幼馴染。
澪は8歳の頃、両親を交通事故で亡くし、引き取り手が無く、施設入所となった。

澪も今は一人暮らしをしてる。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
ねー蒼空!
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
ん?
前の席の澪は席に座った瞬間から後ろを向いた。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
バイト、一緒にしない?
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
また?

澪、すぐ辞めるじゃん。
まだ1個澪が辞めた後もやってんだよ?
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
今度は辞めない!!お願い!
蒼空様仏様!!
手を合わせて、頭を下げてくる。
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
だーめ!
この前のファミレスのバイトも、そう言って3ヶ月持たなかったじゃん!
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
おーねーがーいー!
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
もう。
今度は何でバイト始めたいの?
正直、私達は国からの助成金と、院長からの仕送りがある。
だから、高校3年間はそれなりの生活は、できる。
バイトをするとちょっとくらいは贅沢できる程の暮らしだ。
私は澪に誘われて、1ヶ所バイトしている。
最近までもう1ヶ所していた。
澪がすぐに辞めた為私も6ヶ月程で辞めた。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
んー。内緒。
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
は?
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
いいじゃん!
カフェのバイト!!
可愛い制服着て、接客しよーよ!
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
はぁ。
しょうがないなー。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
やった!!!
ありがと蒼空!大好き!!
私の手を握り、目を輝かせる。
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
その代わり!
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
連絡はあたしがします!
面接日は後日ご連絡します!
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
よろしい。
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
何話してんのー?
教室に入ってすぐからクラスの女子に囲まれていた櫂がやっと帰ってきた。

意外とモテるらしい。
学年男子1位の成績で、小顔にタレ目の大きめの目に、薄い唇。
スポーツ万能で、中学の時はバスケ部に所属し3年の時は部長だった。
容姿端麗、文武両道という、女子にモテるには十分すぎる男だ。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
お疲れー。
今日も相変わらずだねー。
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
べつにー。
興味ない。
機嫌が悪いご様子で、澪を少し睨んだ。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
あ、そういえばさ、今日だよね?
思い出した様にこちらを見てそう言った。
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
來渓 蒼空(ライタニ ソラ)
そうだよ。
今日は月に1度の施設に顔を出す日。
Angel Townの様な施設のほとんどが高校に上がると同時に施設を出て一人暮らしを始める。
私達も中学卒業と同時に、一人暮らしを始めた。

施設の決まりで、頻繁に来るのは禁止。
来るなら月に1回だけ。その日も院長が指定する。

自立を図る為だとか。
そして今日が院長の指定日。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
元気かなー。みんな。
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
涼瀬 櫂(スズセ カイ)
院長生きてっかな。
汐留 澪(シオドメ ミオ)
汐留 澪(シオドメ ミオ)
生きてるでしょ。
澪と櫂が笑いながら話してる。

その2人を横目に私は窓の外に広がる青空を見上げた。



これが、私達の日常。

私達は、小さい頃からずっと一緒にいる。

小学校も中学校も、受けた高校も同じで皆受かった時はほんとに嬉しかった。


親がいないという、心に同じ傷を持つ私達だけど、同じ傷を持つからこそ、皆と居れば笑って幸せだって言える。


こんな毎日が続きます様に……────




日常 - end -