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第5話

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2024/09/02 23:00 更新
目の前にことんと出されたのはスポンジと生クリームに挟まれた色とりどりのサンドウィッチたち。赤はイチゴ、黄はミカン、緑はキウイ。既存のサンドウィッチは卵とレタスが挟まれた惣菜系だったので今回もハムカツとかたまごサンドとかだと思っていたのがまさかのフルーツで、いい意味で期待を裏切られた。
最初はやっぱり、ケーキでも1番上に載せられるくらいの王道中の王道、イチゴが挟まれたサンドから手に取る。いただきますと手を合わせてサンドを縦に持って一口かぶりつく。イチゴのほんのり酸っぱさを生クリームの甘さが緩和してくれて相性は抜群に良くて美味しい。

『美味しい…!』
「果物屋のおばさんから貰ったの。デザートとして出すのもいいけど、どうせならサンドウィッチにしちゃおうと思って」
「なるほどね〜。二人で何か予想してたの、ナポリタンとかカレーライスとかピザトーストとか。けどまさかの贅沢フルーツサンドだったなんて…。美味しすぎるしまた食べたいわ」
「俺も普段グミばっかり食べてるっすけど、いざちゃんとした果物食べると美味しいっすね!また食べたいっす」

薫ちゃんもにれ君も私が思っていたことを全部代弁してくれた。桜君の方をちらっと見ると始めてみるかのような不思議な目で、フルーツサンドを色んな角度から見つめていた。

『さ、桜君?イチゴ苦手?』
「ち、ちげぇ!……こんな洒落たもん食ったことねえから、ど、どう食うか迷ってただけだ!」
「へぇ。まあ甘いものが苦手ならあまり食べる機会はないかもだね」
「あら、文句あるなら食べなくていいけど?」
「食うよ!!……うっま!!」
「桜さん心の声漏れてるっすよ」
『ふふ』

大きな口を開けて一口でイチゴサンドを食べた桜君は、今まで味わったことない甘くも酸っぱい美味にほんのり頬を緩ませた。
……………何これ。なんだか胸が熱い。頬から全身へ温かくなっていく感じ。不意に桜君の顔が見れなくて顔を背いてしまった。
結局皆が食べ終わるまで桜君の顔は見れずに日は暮れ始める。そろそろ解散しようかと言う流れで、薫ちゃんは右手の人差し指を天に上げる。

「ねぇ桜君たち!良かったら私たちとも連絡先交換してくれない?清会女子の内部のこと何でも教えるから、さ??」
「え!桜さん!ぜひ交換しましょ!!蘇芳さんもいいですよね!」
「俺は構わないよ」
「桜さんも!!良いですよね!?!?」
「お、おう。……交換、どうすんだ、これ…」
「ふふ、貸して貸してー」

薫ちゃんが桜君のスマホを受け取って自分のQRコードを読み込ませ、プロフィールから追加ボタンを押す。それからにれ君、蘇芳くんには薫ちゃんからQRコードを表示して差し出す。皆がポチポチと追加したり名前を変えたりしているのを見ていると、おいと声をかけられる。

「お、お前も、連絡先くれ」
『え、いいの…?』
「1人だけ交換しないのもおかしいだろ。……ほら、やってくれ」

目を逸らして照れくさそうにスマホを差し出す桜君。今どき連絡先交換の仕方を知らないのは珍しいけど、今はそんなことを考える余裕はなく、心臓の鼓動は早まるばかりだった。そっとスマホを受け取って、自分のスマホを取り出しQRコードを読み込ませる。アイコンもヘッダーも特に飾られてない「桜 遥」と表示されたプロフィールを追加する。桜君の方のスマホも自分を追加して返す。
スマホの熱のせいか、体温のせいか、スマホを持っていた手に手汗が溜まってちょっと恥ずかしかった。スマホ濡れてなかったらいいな……。

「二人も交換したんすね。俺らもいいですか?あなたさん」
『うん!よろしくね、にれ君、蘇芳君』
「よろしくね」

もちろん二人は交換の仕方を知っていてスムーズに追加していく。それぞれ楡井君、蘇芳君と名前を変えてスマホの時計を見るともう帰る時間となっていた。

『わ、もうこんな時間』
「じゃあ私らはそろそろ帰りますか。ことはー、サンドウィッチありがとね〜。ご馳走様でした」
「感想聞けてよかったわ、また用意しておくから食べに来て」
『すっごく美味しかった!ありがとうねことはちゃん。また食べに来るね』

そうして私らはお店を出て皆に軽く手を振って帰路に着く。いいのにと遠慮したのに皆はお店を出て見送ってくれて、不意に桜君と目が合った。目を逸らさないようにして軽く手を振ると、顔を赤くしながらぎこちなく右手を上げたのだった。

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