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第2話

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2026/03/31 10:44 更新



















冷たい風が、静かに頬を撫でた。





横浜の街は、今日も変わらず騒がしいはずなのに


ーーーこの場所だけ、時間が止まっているみたいだった。





私の手の中には、一輪の白いフリージア。





その花は、どこか不安げに揺れている。




フョードル・ドストエフスキー
……それを、
どうして持っているのですか





背後から、柔らかな声。





振り返らなくても分かる。


この声の主を、私は知っている。





あなた
綺麗だったから、つい





何気なく答えると、彼は小さく笑った。




フョードル・ドストエフスキー
白のフリージア……
花言葉はご存知ですか?

あなた
ううん、知らない





わざと知らないふりをした。


本当は、もう知っているくせに。





彼はゆっくりと、私の隣に並ぶ。





フョードル・ドストエフスキー
"貴方を信じます"ーーーですよ





その言葉は、優しくて。


けれど、どこか残酷だった。





沈黙が落ちる。





私は花を見つめながら、ぽつりと呟いた。





あなた
じゃあ、ぴったりかも

フョードル・ドストエフスキー
……何に、ですか





彼の声が、ほんの少しだけ低くなる。




あなた
フョードルに





その瞬間、空気が変わった。





風が止まる。





世界が、静まり返る。





彼は、しばらく何も言わなかった。


ただ、私を見つめているだけ。





やがてーーー





フョードル・ドストエフスキー
面白い事を言いますね





穏やかな笑み。


けれど、その奥にあるものを、私は知っている。





冷たくて、深くて、底の見えない闇。





フョードル・ドストエフスキー
貴方は私が何をする人間か
知っているでしょう?

あなた
知ってるよ





即答だった。




フョードル・ドストエフスキー
それでも?

あなた
それでも





あなたは、彼の目をまっすぐ見た。





逃げることも、逸らすこともなく。





あなた
信じてる





その一言に、嘘はなかった。





彼は一瞬だけ、驚いたように目を細めた。


けれどすぐに、いつもの微笑へと戻る。




フョードル・ドストエフスキー
愚かですね




静かに、そう言いながら。





彼の手が、私の手に触れる。


白いフリージアごと、包み込むように。






フョードル・ドストエフスキー
信じるという行為は、
時に自分を壊しますよ

あなた
うん

フョードル・ドストエフスキー
それでも、ですか?





私は、少しだけ笑った。





あなた
フョードルが裏切るなら、
それでもいい

フョードル・ドストエフスキー
………

あなた
それでも私は、
信じたって事になるから





その言葉に、彼は黙った。





初めてだったかもしれない。


彼が、言葉を失ったのは。





しばらくして、彼は小さく息を吐いた。





フョードル・ドストエフスキー
貴方はーーー本当に、
興味深い方です





その声音は、どこか優しくて。





ほんの少しだけ、寂しそうだった。





フョードル・ドストエフスキー
では





彼は、私の手からフリージアを一本抜き取る。





そして、自分の胸元に差した。




フョードル・ドストエフスキー
その信頼、裏切らないよう
努力するとしましょう





冗談のように言いながら。





けれど、その瞳は――ほんのわずかに揺れていた。





あなたは気づかないふりをして、空を見上げる。


白い花が、風に揺れる。





まるで――





壊れそうな約束みたいに。





それでも。


それでもあなたは、信じていた。


彼を。






その選択が、


どんな結末を呼ぶとしても。



















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