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第1話

みことside
1,874
2025/10/01 07:00 更新
検索欄に言葉を打ち込む。
みんな検索避けをしてるから、普通に調べてもなかなか出てこない。
だけど、マシュマロとかコメントとかで、普段のクセで隠語を使っちゃう人がいるから、そのおかげで隠語はいろいろ知ってるつもりだ。
シクフォニだったら、『🎼』とか『sxfn』とか『sxxn』とか。
おれだったら、『🎼👑』とか『💛👑』とか『🎼💛』とか。
おれはそれを片っ端から検索欄に打ち込んでいって、コメントとか、自分に関する情報を見ていく。
いわゆる、エゴサというやつだ。

『ここのみことくん好きすぎる。』
『🎼👑くんの6連チャレンジで好きなところ!』
『あれ、、、?王子、、、?ww』

そんなタイトルの動画がショートで流れてきたり、切り抜きが流れてきたり。
そこで自分がやっていること、言っていることを見て、おれはいつも恥ずかしくなる。
こんなこと言ったっけ!?、みたいなことも多くて、ひとりで悶えたりするんよね(笑)。
だけど、こういうのって、ファンの子達の嬉しいコメントとか動画ばかりではなくて。
もちろん、おれ達がどうしても気に入らないアンチの方々だったりもいる。

『自称王子とか、痛すぎww』
『は?声作ってるとしか思えないんだけどw』
『いい歳して「うわぁ!」とか可愛子ぶってる?キモすぎなんですけどww』
『声真似下手すぎだろ、これくらいならオレらだってできるわw』

人間というものは、どうしてもこういう悪いものを見ちゃう性質があるらしい。
おれだって、自分には反省点とかいっぱいあるけど、でも、やっぱりこういうことを言われたら傷つくわけで。
思わずスマホを閉じてしまう。
嬉しい声もたくさんあるけど、やっぱりこういうのもあるんだなぁって思ってしまう。
その時、コンコンコンッと部屋がノックされた。
そういえば、らんらんが来るって言ってたっけ。

「来たよー!……って、どしたの?めっちゃ暗くない?あぁ、部屋じゃなくて。何かあった?」

らんらんがおれのことを見て、心配そうな顔をする。
おれはそれを見て、無理矢理笑って見せて首を横に振った。

「何もないよ!大丈夫。」

「ホンマか?w、、、あー!スマホ!」

らんらんはそんな声を上げると、おれのところに寄ってきて隣に座った。
そして、ピッタリとくっついてきて「見せて?」と言われる。
別に何も隠すようなことはないし、と思ってロックを解除すると、さっきまで見ていた画面が出てきてしまった。
あの、アンチコメで荒らしに荒らされた画面が。
そのまま閉じていたからだろう。
慌てておれはスマホを伏せようとしたけれど、らんらんが素早く手を出しておれの手からやや乱暴にスマホを取り上げた。
そんならんらんの目は、怒っているように見えた。
そして、、、そこにあるアンチコメを片っ端から通報していき、スマホを閉じて返してくれた。

「はい、ありがと。」

「らんらん、、、何で通報したん!?」

「え?こういうのはこの場に不適切でしょ?」

「そうかもしれんけど!」

おれが言葉に詰まってしまっていると、らんらんが優しく笑っておれのことを抱き寄せた。
そして、頭をなでなでしてくる。

「聞かないでいいよ、こんなこと。みことはそのままでいい。大丈夫。誰だって、合う人と合わない人がいるよ。たまたま、この人達にとってみことが合わなかっただけ。だからといって、こういうのを公開していいわけじゃないけどね?みことを好きでいてくれる人は大勢いるし、俺らだってみことの味方だから。」

おれは、じわりと目を見開いて、そのままボロボロと泣き出してしまった。
らんらんはそんなおれを慰めるように、ゆっくりと頭を撫で続けてくれた。

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