こさめに言われて、オレはらんの家に行くことになった。
面倒だったけど、まあらんが徹夜のし過ぎで倒れられても困るしな。
らんの家のインターホンを鳴らすと、中かららんのテンションの高い声が聞こえてきて、鍵が開いた。
「はいはーい、どちら様、、、って、いるま!?」
らんはオレを見て驚いたような顔をする。
てか、今夜8時だけどやっぱり起きてた。
しかも、ブルーライトカットの眼鏡して、今夜も徹夜する気満々じゃん。
オレは「お邪魔しマース」ととりあえず声をかけてらんの家に上がる。
やけにものが少ない家の中に入り、オレはリビングの机の前にドカッと座ってらんを見た。
うっすら隈ができていた。
「突然の訪問だね。どしたの?」
「いや、こさめにらんの徹夜の最高記録更新止めてこいって言われたから来ただけだけど?」
「あはは、だからアポなしだったのね?w」
らんはそう言いながら、オレに麦茶を出してくれる。
カラカラと氷の入ったコップを出され、オレはひとくちそれを飲んで再びらんを見た。
らんは何故かオレの隣に座っており(最近、寝不足からか距離感バグってる)、スマホを見ていた。
その顔には何の感情も浮かんでおらず、無表情だった。
チラリとスマホを盗み見て、少しだけ目を細める。
らんは、エゴサをしているようだった。
そして、らんが今見ているのは、アンチコメばかり溜まっているところ。
以前、オレはらんに恥をかくことを覚悟でアンチについて相談したことがある。
その時は、「アンチコメなんて気にしてたらキリがないってww」と笑い飛ばされて慰められたのだが、、、
「お前、やっぱアンチ気にしてんじゃねぇか。」
オレが言うと、らんはビックリしたようにオレを見た。
その隙にらんの手からスマホを奪い取り、ニヤッと笑ってスマホを掲げて見せる。
「こんなもん気にしてたらキリがねぇんじゃなかったん?」
「ちょっと!返して!」
らんがオレの問いに答えずに、オレが持っている自分のスマホに手を伸ばす。
腹の立つことにオレはこいつよりも身長が高くない上に、この距離感。
すぐにスマホは奪い返されたが、その代わりにオレはらんの身体を抱き寄せた。
そして、らんの後頭部を押さえて自分の肩口にらんの顔を押し付けた。
「慰めようとは思わんけど。無理すんなよ。泣きたい時は泣け。誰見てねぇから。」
らんは少しの間オレの服を掴んだまま硬直していた。
だが、しばらくすると、らんはオレの服を掴んだまま肩を震わせ始めた。
すすり泣きはしんどいだろうし、別にオレ的には声を上げて泣いてくれても良かったんだが、それはらんの中の『リーダー』としてのプライドが許さなかったのだろう。
しばらく泣かせ、やっと落ち着いたらんの顔を上げさせると、泣きすぎでらんの瞼は腫れぼったくなっていた。
それに気がついてはいたが、オレはあえてそれに触れずにニッと笑って言った。
「何も食ってきてないから腹減ったわ。Uberでも頼む?お前は何食いたい?」
いつも通りに振る舞う俺を見て、らんは少しだけ目を見張り、そして、オレが開いたUber Eatsのアプリの画面を覗き始めた。
「これは?」
「却下。カロリー高いわ。」
「えぇ?じゃあ、、、、これ!」
「お前カロリー見てる?」
オレがカロリーを理由にバッサバッサ断ると、らんは不満気に唇を尖らせた。
だけど、俺もそれを真似して睨みつけてやると、らんはそれがおかしかったようで、プッと吹き出した。
その笑顔はもう『完璧なシクフォニリーダー』ではなくて、純粋無垢な『LAN』の笑顔だった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。