ルイスさんとハンナさんは、そう言って頭を下げた
二人はジョングクさんの教育係で、ジョングクさんのことを気にかけて良く思っていることはわかった
今、全てがやっと落ち着いた、ジョングクさんが深く眠るベッドの前で事情を聞いていたところだ
もう城のほとんどの者が寝静まっている時間帯だ
ソクジン兄さんの話す内容に僕は耳を疑った
僕は、ルイを含め、ルイと同じ気持ちを持つ侍従がいることに驚愕した
決して理解できない
ユンギ兄さんも、茫然とするように話を聞いていた
兄さんは、煮えたぎる怒りをその淡々とする態度の裏で押さえつけているようだった
僕たちがジョングクさんに会いに行こうと部屋へ行った時は、兄さんは見たこともない、必死な表情で泣いていたのに
ルイスさんと医者を連れて戻る頃には、その面影はなくなってた
話によれば、何の問題もなく夕食を食べたジョングクさんはルイによって右腕の傷を開かれ…それで……
兄さんが戻ってきた時には既に腕から血が流れ続けていた
拳を握りすぎて、腕が震える
どうして僕は、肝心な時にそこにいなかったんだろう
考えても無駄なのはわかってるけど、そう思わずにはいられないんだ
ルイは今どこにいる
この怒りをぶつけないと気が済まない
辛いのに僕に優しく笑いかけ、気絶するように眠ったジョングクさんを思い出す
本当に…なんてことをしてくれたんだ…
許さない
今まで一言も話さなかった兄さんがそう言った
そうかもしれない
兄さんは、この城にいる遣いの者に良い印象を持ってないから
てっきり、兄さんも残ると思っていた
何かあったのかな
兄さんは、ルイスさんのことは信頼してるように感じた
兄さんが去った後、ユンギ兄さんが口を開いた
ハンナさんが早足で部屋から出ていく
確かに、僕たちは変わった
変わった なんて
救われたんだ
身じろぎし布の擦れる音が聞こえて、咄嗟にジョングクさんへ視線を向ける
額に汗を浮かべて、顔を歪め呻いた
兄さんはジョングクさんのそばに戻ってよって様子を見ると、出口の方へ向かった
そう言われるとルイスさんは黙って引き、兄さんは部屋を出ていった
重たい沈黙の中で、僕からは絶対に譲れない事実が口をついて出て行った
ジョングクさん以外の人たちはみんな、誰一人、僕の心に歩み寄って、理解してくれるような人はいなかった
誰も、気づいてくれなかった
ジョングクさんを除いて
僕もだ…
知らないことはこんなにも恐ろしいんだ
明日、ソクジン兄さんが侍従にたちにどんなことを言うのか
彼だけで伝えられるのか
それとも、兄さんはただ、ルイと同じような考え方の侍従を見つけたいのか
僕も、そこにいないと
兄さんは水に浸した布を絞り、優しい手つきでジョングクさんの額の汗を拭う
もう一度水につけて絞り、額につけたままにした
視界に入れたジョングクさんは、苦しそうに息を吐いていた















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。