言葉には、形がない。
嬉しかったことも、
悔しかったことも、
誰にも言えなかった気持ちも。
その瞬間には確かにあったはずなのに、
時間が経つと少しずつ薄れていく。
だから私は、
忘れたくないと思った気持ちを
ひとつずつ言葉にしてきた。
月を見上げた夜。
誰かを好きになった日。
大切なものを嫌いになった瞬間。
笑い合った放課後。
どうしようもなく腹が立った日。
それでも前を向こうと思えた朝。
どれも、私の中で生まれた小さな感情。
上手く言葉にできない日もあった。
何を書けばいいのか分からない日もあった。
それでも書いて、
書いて、
また書いて。
いつの間にか、
いくつもの言葉が残っていた。
それはまだ未完成かもしれない。
少し不器用で、
今の私にしか書けないものかもしれない。
それでも、
その時の私が確かに感じたものだから。
この作品集に並べたのは、
そんな私の言葉たち。
甘いものも、
酸っぱいものも、
少し苦いものも。
ひとつひとつ大切に育てて、
いつか誰かの心に届くように。
これは、
私が紡いできた言葉の記録。
**『言葉の果実』**












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。