男の人とこの8年間1mmも接点がないわけじゃなかった
ハナのお陰で沢山お見合いも合コンもさせてもらった
だけど、だめだった
彼と比べてしまうから、
彼との共通点や、彼との違う点ばかり気にして
全くその人が見えてなくて
お付き合いなんてできたものじゃない、
それが申し訳なくて、1、2年前に合コンにも何にも行かなくなった
またどこかで会えるかもって変な期待を抱いて
ずっと過してきて
もう分かってる、会えない事も、そんな甘くない事も
だけどやっぱり忘れられなくて
頭と心は比例しないんだ
頭では分かってるのにそれを心が否定する
まだ、まだって、意味もない足掻きを続けてるんだ
この歳にもなって馬鹿みたいだ、
何か忘れられるキッカケがあればいいのに、
合コン当日
久しぶりのワンピースを着て鏡の前に立つ
『ワンピースほんま似合うな』
そう彼が言ってくれたのが脳裏をよぎる
彼が褒めてくれたワンピース
それからたくさんのワンピースを着ては
彼から貰える返事に期待して
彼が褒めてくれたワンピースなんて捨てられやしないのに
もう着れないサイズになってて、、
小さくなったワンピースが過ぎた時を主張してくるようで
胸に刺さった
捨てようとハンガーから雑に引っ張り
ゴミ箱の前に立つ
だけど手を離せなかった
私にはできない、、
自分の無気力さが嫌になってソファにワンピースを投げつけた
そのまま飛び出すように家を出て待ち合わせ場所へと足を運んだ
もうハナは着いていて
カフェについて相手さんの姿を探す
ハナが見つめた視線の先には顔の整った男性が2人座っていた
流石、コミュ力お化け、
声かけるの早い、
向こうもコミュ力高め、
気まづいなーこれ私
席に座って自己紹介から始まる
年上、、いいかもな、なんて
元気で面白そうな子だな、
初対面でまだ自己紹介なのにもう苗字呼び捨て、、!
やばい名前以外に何言おう、、
私こういうのホントだめだ、、
何回やっても合コンは慣れません、、
急に乗り出してきたな、
食べるの好きなのかな
食べるの好きなんだ、
あぁ、だめだ。またこうやって人を不快にさせてしまう、、
────
それから皆喋ってて分かったこと
木全さんの趣味とかが彼に似てること
ゲームが好きなのとか凄くドキッとした、、
ホント最低、、
結局だめじゃん、、忘れるって決めたのにまた重ねてばっかり
こういうのも全部申し訳なく思っちゃう、、
私の事知りたいと思ってくれてるのに、、
忘れられない男がいて
その人で染まってるなんて、、
自分で自分ぽい所なんてないって、、
分かってるから、、
そんなこんなで合コンは終わって解散の時になった
行ってしまった
あの二人いい感じだなとは思ってたけどここまでとは、、
どうしよう、木全さんきまづいよね、、
そのまま何のあれもなく家に帰った
木全さん、、
優しい人だったな、、
彼に、、ううん。もう考えるのはやめよう
そう自分に言い聞かせ寝る支度を始めた
𝐧𝐞𝐱𝐭…𝐒𝐭𝐨𝐫𝐲
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!