あつきとの帰り道、大飛の頭の中は
先程の彪雅と優太でいっぱいだった
ただ、何をどうしたらいいのか、
これから自分たちはどうなるのか、分からない
何かを言うこともなく、
ただ黙って聞いてくれるあつきの存在が
今の大飛にとってありがたかった
リビングからノートを持って出てきた聖良は
帰ってきた大飛の顔を見て固まった
聖良を通り過ぎて部屋に入ろうとする
大飛の腕を掴んで止める聖良に
ソファーに座るように促される
温かい紅茶を淹れてくれた聖良
大(いつの間にこんなこと…)
(おっきくなったな…)
大(幸せそう…)
(悠馬に任せて良かった)
大飛の頭をぐりぐりと撫でる聖良に
大飛も少し笑顔になる
翌朝、家を出た大飛
いつもの待ち合わせ場所に向かうと
見慣れた背中が見えた
昨日と変わらない様子の優太
当たり前のように左手を繋がれた
大飛の手を引いて歩き出す優太
大(もし俺が彪雅を選んだら…)
(優太と登校することも)
(無くなっちゃうのかな…?)
遠くから彪雅の声が聞こえ
橋の手前を見ると手を大きく振って
走って来る彪雅の姿があり
大飛も手を振り返した
彪雅も当たり前のように右手を繋いできた
大(優太も彪雅も普通だ)
真顔でかわいいと言う2人の手を
ぱっと離して走ってあつきと悠馬も元に向かう大飛
後ろから追いかけてくる2人に振り返る大飛
大(俺だけいっぱい考えろって)
(なんかずるい…)
(俺は今のままでいいのに…)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。