第6話

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2024/05/04 00:34
大飛
あつきとの帰り道、大飛の頭の中は
先程の彪雅と優太でいっぱいだった
ただ、何をどうしたらいいのか、
これから自分たちはどうなるのか、分からない
大飛
はぁ…
あつき
大飛…
大飛
あっちゃん……俺…
彪雅のこと…好きなんだ……
あつき
…うん
大飛
でも……彪雅とどうかなりたいとか…
そんな…つもりじゃなかった……
あつき
うん
大飛
俺は…ただみんなとずっと…
一緒がよかった…
あつき
うん
大飛
関係が…崩れるのが……こわいよ…ッ…
あつき
ッ…うん……
何かを言うこともなく、
ただ黙って聞いてくれるあつきの存在が
今の大飛にとってありがたかった






大飛
ただいま…
聖良
おかえりー
聖良
お兄ちゃんやっと帰ってきた!
ねぇ、ここ分かんな……どうしたの…?
リビングからノートを持って出てきた聖良は
帰ってきた大飛の顔を見て固まった
大飛
え…?
聖良
なんかあった…?泣いたでしょ?
大飛
ぁ……なんでもない…
聖良
ちょっと待って、ここ
聖良を通り過ぎて部屋に入ろうとする
大飛の腕を掴んで止める聖良に
ソファーに座るように促される
大飛
聖良
はい、どうぞ
大飛
…ありがとう
温かい紅茶を淹れてくれた聖良
聖良
話したくないなら別に無理に話さなくてもいいけど…そんな顔で1人で居たら寂しいでしょ?
大飛
聖良…
大(いつの間にこんなこと…)
(おっきくなったな…)
大飛
…聖良はさ……
聖良
ん?
大飛
悠馬と付き合うの…怖くなかった…?
聖良
お兄ちゃん…
聖良
怖かったよ…
周りに反対されたらとか、
ファンの子にバレたらとか、
いっぱい考えたけど、
聖良
それでも、悠馬と居たかったから
聖良
今は、良かったと思ってる
大(幸せそう…)
(悠馬に任せて良かった)


聖良
お兄ちゃんは?
大飛
え?
聖良
告白されたんでしょ?
聖良
彪雅くん?優太くん?
大飛
…両方
聖良
どうするの?
大飛
どうするって…
大飛
俺は…その…
聖良
ま、いっぱい悩めーw
大飛
ちょ、やめろッw
大飛の頭をぐりぐりと撫でる聖良に
大飛も少し笑顔になる
聖良
がんばれ、お兄ちゃん
大飛
うん






翌朝、家を出た大飛
いつもの待ち合わせ場所に向かうと
見慣れた背中が見えた
優太
おはよ
大飛
おはよう
昨日と変わらない様子の優太
当たり前のように左手を繋がれた
大飛
優太…
優太
俺は大飛が振り向くまで
止まるつもりはないから
優太
だから俺のこといっぱい考えろ
優太
いっぱい考えて、頭の中俺で満たして
彪雅のことなんて忘れちまえ
大飛の手を引いて歩き出す優太
大飛
…できるわけないじゃん……
大(もし俺が彪雅を選んだら…)
(優太と登校することも)
(無くなっちゃうのかな…?)
優太
無くならないよ
大飛
……え?
大飛
俺…声出てた…?
優太
ははッw声出てなくても分かるんだよ!
優太
大飛の考えてることなんて
手に取るように分かる
優太
彪雅を選ぼうが、最終的には大飛は
俺のとこに来るって思ってるから
大飛
ふッwなにその自信w
優太
笑ったな
優太
やっぱお前かわいいわ
大飛
うるさいよ//
優太
すぐ照れるとこもかわいいわ
大飛
もう!///
優太
あははッw
彪雅
大飛ー!!!
遠くから彪雅の声が聞こえ
橋の手前を見ると手を大きく振って
走って来る彪雅の姿があり
大飛も手を振り返した
彪雅
はぁ、はぁ、おはよ!
大飛
おはよ
優太
はよ…じゃますんな…
彪雅
じゃまするに決まってんだろ!
彪雅も当たり前のように右手を繋いできた
大(優太も彪雅も普通だ)
彪雅
大飛!いっぱい俺のこと考えたか?
でももっと考えろよ!
大飛
彪雅まで…
優太
彪雅
え、なに?
大飛
優太と同じこと言ってる
優太
真似すんなよ…
彪雅
うるせー!大飛は俺と
付き合うんだから諦めろ!
優太
は?俺に決まってんだろ!
大飛
もう!
2人とも何言ってんの?
大飛
俺別に…付き合うなんて……
言ってないし…///
優太
かわいいな
彪雅
うん、かわいい
真顔でかわいいと言う2人の手を
ぱっと離して走ってあつきと悠馬も元に向かう大飛
優太
あ!やま!
彪雅
大飛!待て!
後ろから追いかけてくる2人に振り返る大飛
大飛
!ば、ばーか!!///
大(俺だけいっぱい考えろって)
(なんかずるい…)
(俺は今のままでいいのに…)



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