真人はそう言って私に笑いかけてきた。
・・・・本っっ当にこの真人、調子狂う。
私は飲み込まれないように目線を外した。
真人はニコッと笑って頷くと窓の方まで歩いて行く。
そして窓の手前でピタッと止まった。
くるっと体を私の方に向ける。
そう言い終わると窓からぴょんっと飛び降りた。
私は近くの窓から下を見下ろした。
真人が地面に着地したのが見えた。
真人がこちらに向けて軽く手を振ったあと、ゆっくりとした動作で歩いていった。
私は紙切れをポケットの中にしまい、無意識に力が入っていた肩をストンと下げる。
会議室で私の声が響いた。
首をぐるぐる回しながら先程の出来事を思い返す。
あの様子からして真人たちは今回のこの事件とは無関係っぽいなぁ。
私はため息をつく。
なぁんか、ややこしいことに巻き込まれていきそうだなぁ・・・・
めんどくさい。
私は首をふるふると振った。
今はこの依頼に集中しないと。
その時だった。
声がした方を向くと昨日私に殴りかかってきた子がいた。
子、といってもそこまで子供とは思えないが。
てか、私後ろから話しかけられる率高くない?
そういって小さく笑った。
その拍子に耳につけているピアスがチリン、と音を立てる。
・・・・この子、初めてこの学校に来た時に廊下ですれ違ったな。
というか、会えてよかったってなんで?
よほど私が困惑した表情をしていたのだろう。
その子は少し慌てたように手を振る。
小さくそう呟くとこほん、と咳払いをした。
そして私を見てにこりと笑う。
どこかで聞いたことがあるような・・・・?
その子───いや、一虎は不審そうに眉を顰める。
早速下の名前呼びかい、というツッコミは入れないでおく。
この世界全員距離の詰め方おかしい。
コミュ力激高お化けか・・・・
そのとき、前に見た夢の内容を思い出す。
『人を殺すのは悪者。でも敵を殺すのは"英雄"だ!!』
思い出した。
この人、マイキー達と争う?人だ。
・・・・でも、なんか雰囲気が違うような気がする。
じっと見つめていると一虎の眉がぎゅっと歪んだ。
嘘だけど。
いや確かに綺麗ではあるけど、そう思って見てたわけではないから嘘だけれども。
私はなんだか居心地が悪くなり、そっと目線を逸らした。
流石に見つめすぎたらしい。
一虎は自分の髪を少し触りながらぼそっと呟いた。
少しだけ嬉しそうにしていたことは、私には知る由もなかった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!