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第2話

recipe1 新しいここで。
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2018/07/22 00:37
桜の舞う4月。
私は区立桜町中に入学した。ぶかぶかのジャケットと裾の長いシャツに少し短くしたスカートを春風にたなびかせて私は友達と門をくぐる。




昇降口前でクラス分けの表をもらい、自分のクラスを確認した。(4組か…)わりと仲の良かった子とは、別れてしまったが家の近い晴菜とは一緒だった。(知ってる子がいてよかったな)心の中で大きく安心した



そういえば、卓は何組だろ、ふと卓のことを思い出した。卓というのは、六年生の時仲が良かった男子ですぐ私にちょっかいだしてきてまぁうざい。ホントはどうでもいい奴のはずだが、春休みに言われた『また同じクラスなら良いね。』と言う言葉が心の中に残ってて調べたくなってしまった。

4組には、いな…い、なぜか少しさみしかった、どうでもいい奴のはずなのにな、まぁ仲よかったからまだ一緒に、ばかやりたいって気持ちあんのかな…私ガキだなーとか思いながら他のクラスを探す。


あっ、あった。3組だ。隣のクラスで良かったと私はほっとした。別に好きな分けでもないのになぜかホッとしてしまっていた、


突き当たりの階段をのぼり自分のクラスへと向かう、3番のりだー、思ったより来てる人が少ない。(まぁまだ集合よりはやいもんな)自分の席を確認。私は水野いちごだから、ここか…隣は三門君とか言う人。小学校違うと分からない。腰を下ろした瞬間、
「いちごやっほ!」と明るい声、晴菜だ。
私は晴菜にヤッホーと返すように、手を振った。晴菜の席まで移動していろんな話をした、誰がいるんだろーーと調べているうちにだんだん人が来た。(げっ、ケイタロー)嘘でしょ!?と言う現実を受け止められないよくな感情を抑えた。待って、だってさ…私達…と
思ったが声には出さなかった。



ケイタローは私の双子の兄だ。なんとクラスが一緒になるとは思っていなかった…
だって双子だよ?普通ならなくない!?
もーと私は頬を膨らませた、『まもなく入学式が始まりますー。  生徒のみなさんは…』放送が流れ体育館へ向かう、

長々しい校長の話をねむそうに聞きながらいろんなことを考えた


『これにて入学式終わります1組から順に退場して下さい』

放送が流れ退場を始める。パチリ!卓と目が合ったすぐに逸らしてしまったが少し嬉しかった、そのまま教室に戻り担任の紹介などをして解散した。

「水野!」後ろから聞き覚えのある声。
卓だ!私は卓!と声を出し2人でまたばか騒ぎ、


「よく気付いたね!私髪の毛ばっさり切ったのに!」と言うと
「気付くだろ…」と小さな声で卓、


私は聞こえなく、え?と問いかけてしまう。

卓は「ばーか、あんなにばか騒ぎしてる奴他にいねーよ」と言いながら歩き始める。

うわーーーヒドーいと私は卓の後を追いかける。2人で門を出て、桜並木を通り家に帰る。家が正面のため帰る方向が一緒なのだ、バイバイと交わし、家に入る。


明日も、明後日もこの距離が続けばなんて思ってしまう。いつか卓に大切なものが出来てしまったら笑い合えないと思うと今でも恐ろしい。クラスが違うから、そんなことも考えられる。そんな不安とドキドキを胸に私の新しい物語がスタートするのだ。







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