空き教室に沈黙が流れる
黙って僕に頬を撫でられているひょんが
空っぽな瞳で遠くを見つめる
きっと今この人は
僕じゃなくてどんみんに助けられたかったと
そう思っているのだろう
優しいだけの僕と
そうじゃないどんみん
どちらが魅力的かなんて誰でもわかる
それでも僕は , ひょんが好きで
誰にも渡したくないし
僕だけのものになってほしいと思ってる
そんなの叶わないって解ってるから言わないけれど
正直もう , ボロが出そうだ
知ってるよね , 分かってる
でもひょんが知ってるって言う僕の好きは
氷山の一角くらい小さいもので
もっともっと深くに ,
想像もつかないくらい重いものがあるんだよ
でもひょんは ,
それを知らなくていいんだ
いつもの僕じゃ絶対に言わないようなこと
それに驚いたひょんが困惑したような声を出した
いつもの優しい僕は
今だけはここにいない
だって大好きな人が傷つけられて
いつも通りで居られる人間なんていないよ
たまに暴走する僕をどんみんは
真面目な顔して止めてくれたっけ
" お前はそこが無ければまだまとも "
って , ほとんど悪口だったけど
今までひょんの前ではちゃんと気をつけてきた
でも今日は別
僕を止めるどんみんもいないし
ひょんが止めないなら , 僕は徹底的にやる
当たり前のことを聞くひょんに
思わず疑問符で返してしまう
好きだから
ひょんのためにそれをしようとしてる
それだけだよ
そう言って僕を見るひょんの目は
見たこともないほどきらきらしていた















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。