第13話

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2026/02/16 00:11 更新






〈jisung side〉





(実験記録)


『2025年11月1日

 天気:曇り

 気分:良くない


(備考)

 港に上がるとき、足を滑らせて海に落ちた。

 ケガはなかったけど、全身冷たくて寒い。

 ラボに着いたらヒョンがいた。安心した。

 ここから先は、ヒョンの身体について記そうと思う。 』










ここまで書いて僕はペンを置き、ヒョンの方を見た。
ヒョンは柔らかいゴムボールを壁に投げている。





jisung
jisung
じゃあ、質問していくね





ヒョンがボールを投げるのを止め、
僕の方を向いて黙って頷いた。





その目は、僕が知ってる優しいヒョンのものだった。














『実験記録① 25/11/1


 最後の鮮血摂取から、およそ12時間が経過。
 被験者の気分は「すごくいい」「喉が渇いてる」の2点。





 気分の良さ →説1:血液摂取による快楽
        説2:身体能力の開花



 喉の渇き  →説1:単なる水分補給不足
        説2:血液を欲している…?




 (見解)

 ある意味では、この実験は想像以上の成功と言える。

 歩くのがやっとだった被験者の身体能力が、

 一時はオリンピック選手並みのものに変化した。 』










mark
mark
チソンア、いくぞ
jisung
jisung
うん





僕が頷くと同時に、ヒョンが走り出す。
そのまま本棚の上に登り、




jisung
jisung
うわぁ…





遠く離れたプロジェクターの縁に降り立った。
そのまま両腕で部屋を伝い地面に戻ってくる。





ストン、と軽やかに着地したヒョンは、
どこか興奮しているようだった。




mark
mark
なんなんだこのスピードとパワー…
こんなに気分がいいのは生まれて初めてだ
jisung
jisung
ヒョンすごい…飛んでるみたい





そこで僕たちは同時にハッとした。
飛んでる…?




jisung
jisung
ヒョン…もしかして、
mark
mark
いや、まさかな…





そう言いつつも、僕たちの目線は
自然とラボの中央に向いていた。














jisung
jisung
ほんとに記録しなくていいの?
mark
mark
ああ、俺だけが分かってればいい





そう言いながら、ヒョンはタッチパネルに触れた。





3、3、8、9、2、4…




jisung
jisung





ビープ音が鳴り、コウモリたちが一斉に飛び立つ。
そしてそれと同時にヒョンは解除したドアを開く。





僕は自分の見てる光景が信じられなかった。




jisung
jisung
……すごい…





何百羽ものコウモリたちは、
ヒョンを拒まなかった。





むしろ歓迎しているようにも見える。




jisung
jisung
(まるで…昔からの仲間みたいに…)





コウモリが羽ばたきながら作る輪の中心で、
歓迎を受け入れるように両手を広げるヒョン。





その初めて見る表情に、
僕の中の何かが動かされた気がした。





ヒョンはコウモリたちの方へ手を伸ばし、
そのうちの1匹がヒョンの腕に止まる。





また1羽、また1羽。





記録するな、と言われたけど
これだけは…と思って僕は日記に手を伸ばし、
感動で震える手を抑えながらペンを走らせた。





『 被験者はこの変化を、喜ばしく思っている。 』




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