あなた「痛ぅ……」
?「わりぃわりぃっ!!大丈夫か君ぃぃ!」
駆け寄ってきた何人かのうちの1人がリエーフくん以上の大きな声をかけてきた。
あなた「ぅ……」
ぐわんぐわんする。
流れ弾をまともに喰らうの久々だしなぁ……。
ガシッ
?「大丈夫かぁぁぁぁぁっ!!?」
ちょっ……!
揺さぶらないでぇぇぇ!!
返事をし損ねた私を心配してか、ミミズクヘアーのその人はユサユサと肩を掴んだ腕を動かす。
あなた「ぅっ、ちょ、やめ_______」
?「木兎さん頭を打ったのなら揺さぶっちゃダメです。……ごめんね、大丈夫?」
あまりの高速の揺さぶりに気分が悪くなり始めたところで、ミミズクさんの腕をつかんで止めてくれた1人の男の子。
?「あ!!すまん!!!つい……」
あなた「あ、い、いえ……」
ん?
木兎って確か……。
あなた「4本目の方ですか?」
?「誰が4本目じゃぁぁぁい!」
?「ブフッ……」
若くんから聞いていた記憶を巡らせて尋ねると、グワッと突っ込まれた。
私を助けてくれた人は笑ったように思ったけど、見ると真顔に戻っていた。
あ、失礼だったか……。
あなた「すみませんっ。若くん……牛島若利くんから、凄い人だって聞いてたから……」
涙目になって俯いていた彼は、ぐうぅんと頭を上げて詰め寄ってきた。
?「それ本当か!!やっぱ俺最強っヘイヘイヘェイ!!……って、牛若と知り合いなのか?」
気分の上がり下がりが激しい人だなぁ……。
あなた「あ、はい……えっと、"友人"です」
なんて表現するのが正解なのかと迷ったけど、この際なんでもいいや。
?「そーかそーか!!君、名前は!?」
あなた「あ、岩泉あなたです。烏野高校1年です」
?「カラスノって、今日参加するっていう……なるほどな!俺は梟谷3年、木兎光太郎だ!!」
歯を出してニコッと笑うので、とりあえず足元にあったボールを拾って手渡した。
木兎「さんきゅ!!……でも、なんであなたしかいないんだ?」
いきなりの名前呼び……まぁいいけど。
あなた「えと、研磨くんに案内して貰ったら早く着いちゃって……」
?「珍しいね。研磨が他校の人と仲良くなるなんて」
さっき助けてくれた人は、変わらずの無表情で言った。
私の目線から察してくれたようで、自己紹介。
?「赤葦京治。梟谷2年」
あなた「あっ、どうも……」
……2年?
木兎さんよりしっかりしてそうなのに……。
木兎「な、なんだよぉその目はぁ……」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。