夢主side
動画編集が一段落して時計を見ると、あと少しで退勤時間になることに気づいた
私はそのまま退勤準備を始めた
…そういえば、言さんを見かけないな
まだ撮影をやっているのかな?
あわよくば、一緒に帰れたらなと思っていたけど……
言さんは人気メンバーだし、忙しいよね~……
言さんと付き合ってから早1年が経ち、私も入社2年目を迎えていた
…橘さんとの1件からまた言さんとは話すようにはなったけど、お互いに忙しくなり仕事以外では会えていない
もちろんデートも
そんな日々が続き、少し……いや、結構寂しさが募っている
それに、距離も付き合う前とほぼ変わらない
もっと、恋人らしいことしたいな~なんて……言えるわけない
それに、前デートしたときに言さんが家まで送ってくれるって言ってくださったのに、断っちゃったし…
…本当はもっと一緒にいたかったし、送ってもらいたかった
でも……頼っちゃっていいのかなって、不安になってつい強がってしまった
我ながらバカすぎる……
仕事終わりも一緒にならないから、一緒に退勤とかもないし……
ついそう呟くと、言さんが私の顔を覗き込みながら聞いてきた
私はまさか言さんがすぐ目の前にいて、聞かれるなんて思っていなかったから変な声が出てしまった
私の反応におかしかったのか、言さんは笑っていた
やばい…さっきまで自己嫌悪みたいになってたから、涙が出そう…
あの一件からどうやら、涙もろくなったみたいです💦
言さんにさっきの言葉が聞こえていたのが恥ずかしくて、つい否定してしまった
甘え上手の方が、可愛いに決まってるのに……
すると、言さんは仕事が終わったかを聞いてきた
きっと、退勤時間だと知ってるからかな
言さんの様子に私は違和感を覚えたし、不思議に感じた
なぜか、言さんは焦っているような緊張してるような、そんな感じだった
どうしたのかな?
言さんの提案に私は少し間が空いて、声を漏らした
“一緒に帰らない?”って言いました……?!
私は誘われたことが嬉しくて大きく頷くと、言さんは安心したような反応をした
私はQuizKnockに入って、初めて言さんと一緒に退勤をすることに……
歩きながら、私はある疑問が生まれていた
なんで今になって、誘ってくださったんだろう?
前回のデートからは半年以上ほど経っていて、今日までデートらしいことをしていない
クリスマスの時が最後かな~
年度が新しくなった今、やっとその目まぐるしい日々が落ち着きを取り戻し始めた段階なのだ
だから、なのかな?
なーんかしっくり来ない感じがする……
そんなことをぐるぐる考えていると、隣から私を呼ぶ大きな声で意識が現実に戻った
言さんは私のことをずっと呼んでくださっていたみたいだ
私ったら、せっかく言さんと一緒に帰る貴重な機会を……
言さんの問いかけに私は思わず聞き返した
言さんがグイグイ聞いてくるので、私はどう答えればいいか迷っていた
言った方がいいのかな……?
そんなの、当たり前じゃないですか……
そう言う言さんの表情はとても悲しそうな、不安そうな……そんな表情だった
そんな言さんを見て私は胸が苦しくなって、つい言さんの手を握った
大丈夫だよって、安心できるように……
言さんはまさか私がそんなことをすると思わなかったみたいで、びっくりしていた
言さんの言葉に申し訳なく思い、すぐに謝った
...急に手を繋ぐのは、ダメだったかな( ´・ω・`)
私はついに、言さんに聞いてしまった
言さんは意外だと言わんばかりの反応をした
...おかしいって思われたかな...💦
何を言われるかと身構えていたら、予想のはるか斜め上の言葉に私は変な声が出てしまった
...付き合い出してから本当によく言ってくださるけど、いつまで経っても慣れません///
言さんの優しい微笑みに私はドキドキしてしまう
言さんにとっては、可愛らしい悩みだったのかな...?
言さんの言い方に私は違和感を覚えた
...もしかして、他にも理由がある?
言さんが少し落ち着いた声で名前を呼んだかと思ったら、とんでもないお誘いをされた
私はつい変な声を出してしまった
い、今……家に来ないって言いましたー?!
思わず聞き返すと、もう一度言さんは同じことを言った
聞き間違いではない......
そんな、言さんの家になんてお邪魔したいに決まってる!!
なんて言ったって、推しの家だよ?!
行きたくないわけないじゃん...
でも......
私はつい独り言が出てしまったみたいで、言さんが少し笑いながらそう言った
私のバカ!
何で声に出しちゃうんだよー
私がつい謝ると、言さんは笑いながらそう言った
いや、急は急だけど...嫌とかそういうわけではない
むしろ......
私の言葉に、言さんは少し不安そうにそう聞いてきた
...やっぱり、誘うのには勇気いるよね
私の答えに言さんは安心したようだ
断るわけないのに......
言さんの質問についそう答えると、言さんは驚いていた
...言ってしまった
さっきは、断るわけないって言っておきながら、あのときは断ってしまったから...
だけど、意外にも言さんは安心している様子だった
てっきり、私は呆れられるかと...
どうやら、言さんは私が家の場所を知られるのが嫌なんだと思ってたらしい
そんな発想、1回も出たことなかった
そう言いながら、言さんは立ち止まった
私は不思議に思いながらも立ち止まる
言さんと家まで一緒に帰れるのが嬉しくて、ついそう言うと言さんも頷いてくれた
もっと、素直になれるように頑張りたいな













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。