言side
問ちゃんと莉央ちゃんの結婚式の帰り、目の前であなたの下の名前ちゃんが事故にあった
僕は一緒にいたのに何もできずに、ただ呆然と見ているしかなかった
あなたの下の名前ちゃんの目が覚めるまでの1週間は地獄のようだった
病院の先生からは“もしかしたら、意識は戻らないかもしれない”と言われ、本当に生きてる心地がしなかった
僕が暗い顔をしていると、真っ先に声をかけてくれたのはいつも問ちゃんと莉央ちゃんだった
2人だって、不安なはずなのにいつも励ましてくれて......
他のみなさんも気にかけてくださって、僕はどうにか自分を保っていられた
そんなある日に、
あなたの下の名前ちゃんが一般病棟に移動になったから、面会ができるという連絡が入ったらしい
それを聞いて問ちゃんと莉央ちゃんは真っ先に僕のところへ来てくれた
正直言って、めちゃくちゃ安心した
本当に、本当に良かった......
すると、ふくらさんからそう提案された
ふくらさんに背中を押されるような形で、僕たち3人は病院に急いだ
でも、現実はそう甘くはなかった
目を覚ましたあなたの下の名前ちゃんは、まるで別人のようだった
まず見た目は事故の影響で、あらゆるところに包帯が巻かれていて痛々しい様子だった
そして......何もかも覚えていたかった
僕たちのことも......自分のことも
信じたくなかった、信じれなかった
先生によると、頭を強く打ったことによる記憶障害とのことだ
確かに、あなたの下の名前ちゃんの目には僕は映っていなかった
あなたの下の名前ちゃんの病室を後にしてから、問ちゃんはそっと背中をさすってくれた
さすが、双子
何も言わなくても分かってくれる
あなたの下の名前ちゃんの前では明るく振舞ってたけど、やっぱり......辛いよ
好きな人の記憶から、自分の記憶が消えるなんて......
なんで、あなたの下の名前ちゃんばっかりこんな目に......!
まるで今の僕の気持ちをそのまま表すかのように、莉央ちゃんが呟いた
莉央ちゃんの目には涙が溜まっていた
その言葉には怒りと悲しさと悔しさが混じっていた
でも、莉央ちゃんの言う通り
なんで、あなたの下の名前ちゃんばかり苦しめられなければいけないんだ
でも、問ちゃんは真っ直ぐそう言った
確かに、あなたの下の名前ちゃんは終始笑っていた
いや、僕たちを安心させるために笑顔でいてくれてたんだ
ずっと僕はあなたの下の名前ちゃんが、かわいそうだと思ってた
でも違う
勝手に、あなたの下の名前ちゃんを被害者扱いにしていただけなんだ
あなたの下の名前ちゃんは生きている
それだけで......十分なんだ
問ちゃんの言葉に頷いて反応すると、莉央ちゃんは不思議そうに僕を見つめていた
僕に今できることは、あなたの下の名前ちゃんをサポートすること
あなたの下の名前ちゃんが楽しくまた生活できるように、支えるんだ













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。