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第1話

一話「最弱」
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2023/09/13 10:56
あくる日の朝
ヒジン
母さん!歌うたってよ〜
そこに、彼がいた。
母さん
だ〜め、ほら商人さんが気づいちゃうでしょう?
彼は、最弱種族の子供。ヒジン。
名前の由来は日のごとく育ってほしいという意味らしい。
ヒジン
え〜、でもぉ...
彼は、すくっと立ち上がると商人の近くへ行こうとした。
母さん
あ、だめっ!
しかし、母親が止める。
ヒジン
なんでだめなの?商人さんは優しぃって絵本に書いてたよ!
母さん
はぁ、また人間の本を読んだのね...
もう人間の本はダメって、何回行ったらわかるの!
母親はため息を付き、ヒジンに対して怒る。
人狼族の間では、人間の本は読んではいけないという謎のルールがあったからだ。
ヒジン
なんでだよ!もういい、母さんなんて知らない!
ヒジンは母親が止める暇もなく後ろの森林へと走り去っていった。
母さん
あっ...
母親は、自慢の尻尾をブンブンと振り回す。
と、後ろから声がかかった。
商人
おい、時間だ。息子との最期の対談はどうだった?w
母さん
...最悪よ、彼逃げてしまったし...
母親はさらに尻尾を回す。
商人
まぁ、いいさ。さぁ乗れ!
母さん
...はい、
ごめんね、ヒジン。
あなたの最期まで入れれなくって。せめてあなたは、健やかに生きてね
                          あなたの母親より
場所は変わって森の中。
ヒジン
いいさ、母さんなんて...
ヒジンは石を蹴る。
蹴って蹴って蹴って、やがて開けた場所に出た。
ヒジン
なに、ここ...
ヒジンは森を知り尽くしているつもりだったが、こんな場所があるなんて、と目を丸くして中央の湖へと走っていく。
湖には、魚が大量にいた。水は澄んでいて飲水としても使えそうだ。
と、奥の木に何かがいるのに気づく。
とっさに威嚇するヒジン。が、その気配はすっと消えてしまった。
ヒジン
...なんだ?
疑問に思い、ゆっくりと近づいていく。
と、そこには...

可愛らしい召し物をした、生き物ではないナニカがいた。
ヒジン
...んだ、こいつ。びっくりさせやがって。
悪態を付きながらも、彼女?の体を念入りに見ていく。
すると彼女の体に、雷のような文様があった。
ヒジン
なんだぁ?これ、
様々な場所から見ていくも、わからない。
突っついてみたり、勢いよく倒してみたり。でも、わからない。
ヒジン
...いいか、んなもん。
ごっ...っと蹴ると、かちりとなにかが起動する音がした。
ヒジンが慌てて後ろを振り向くとそこには____
キレイな彼女が立っていた。
ヒジン
え、誰だお前...
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ヒジン
なっげぇな!!?
思わず思っていたことを口にしてしまうと彼女は驚く。
大きな音にびっくりした...まるで、人間のように。
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あなたが、私を助けてくれたもので?
ヒジン
いや、ただ蹴っただけ...
本当のことを口にすると、彼女はうげという顔をする。
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キカイを蹴るなんて、いい度胸してますね。ばーか。
抑揚はない。でもなんとも人間らしい挙動にヒジンは笑ってしまう。
ヒジン
wwwなぁにが「ばーか」やwwwひぃwwww
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なっ!お、私をバカにしたな!
なにかを彼女は言いかけた。なんだ?と思いながらも会話を続けようとする。
ヒジン
ひぃwww

...で、お前何しにきたん?wここは最弱種族のすみかやで?
ヒジンはつい、いつも人間が使っている、常用語?とやらを使ってしまい、思わず口を紡ぐ。
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...わいはお前の母さんを助けに来たんや。害はあらへん。
が彼女も合わせてくれた。
ヒジン
wお前さんは使わへんでええんやで?その代わり、私って言うのやめよーや。
あと...その、長ったらしい名前!
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...?プロトタイプ-k-n-u新式12.5のことで...か?
ヒジンは頷く。
ヒジン
よぉし、今日からお前は、「KUN」や!おぼえときぃ!
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...え、
瞬間、なにやら体の中のものがごっそり失われる感覚がした。
ヒジン
うわぁ!?
ヒジンは思わず転ぶ。
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...ヒジン、お前さ、常識知らないだろ。

俺が教えてやる。
...どうやら彼女は髪が伸びているだけで男らしい。

ヒジンは、おことばにあまえて、コクリと頷いた。

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