第7話

僕 は 好 き
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2018/02/03 05:15


ゆり子 「だって、ちよちゃんがあと継ぐんでしょ?」


ちよこ 「そうだよ!」


大きくうなづいてゆりちゃんは力強く言った。


ゆり子 「私は、それを叶えるためにここをやめます!」


ちよこ&大介 「えっ…?!」


まち 「すみませんね。ゆりちゃん。長いこと手伝ってくれたのに…」


ゆり子 「ううん。まちさんには感謝してます!…あー私、買い出し行ってきます!」


ちよこ 「…。」


ゆり子を追いかけてちよこも店を出て行った。
店に残された大介とまちの間には少しの沈黙が流れたあと最初に口を開いたのはまちだった。


まち 「ごめんね。大介。」


大介は黙ったままだった。



ちよこ 「ゆりちゃん待って!」


ゆり子 「ちよちゃん今までありがとね!」


ちよこ 「何言ってんの!」


ゆり子 「私ね、まだ大介が小さい時に行き場がなくて…そんな時に
     まちさんが雇ってくれて住むとこもお世話してくれて…っ」


いつも明るい太陽の存在なゆりちゃんのはじめて泣いてる姿を見た瞬間だった。


ゆり子 「あの時食べさせてくれたお団子は本当においしかった!あの味は今でも忘れられない…覚えてる。」


ちよこ 「ゆりちゃん!私、必ずゆりちゃんが戻ってこられるようにするからね!!必ず!!」


ゆり子 「ちよちゃん…期待してるよ!」


ゆりちゃんは涙をぬぐってそう言った。



なんて言ったのはいいけど、一体どうしたらいいんだろう…。



委員長 「ということで多数決でうちのクラスは文化祭の出店はパンケーキ屋で決まりました!」



またパンケーキ…。だけどゆり子のことで頭がいっぱいなちよこには今まで程響いてはいなかった。


ちよこ 「どうしたもんかなー…。」


中庭で1人考え事をしていたちよこ。


庵 「ちよこちゃん。こんにちわ。」


ちよこ 「うっわああ!!」


突然の庵先輩にちよこは座っていたベンチから滑り落ちそうになるかのように驚く。


庵 「大丈夫?」


ちよこ 「せせ先輩!!どうしてここに?」


大介 「あっちよこ…っと…。」


校舎から2人を見ていた大介は、複雑な思いで2人を見つめていた。


庵 「相変わらずちよこちゃんはおもしろいね。」


ちよこ 「先輩こそいつも突然で…驚きます。」


ドキドキするのも忘れるくらい…。


庵 「隣いい?」


ちよこ 「えっ?あっはい。どうぞ…。」


急に胸の鼓動が早くなり恥ずかしくて先輩の顔を見れなくなっていたちよこ。


ちょっと待って何この状況!!学校で2人きりって…いつも永澤先輩がいるのに…。


ちよこ 「きょ今日は…いっいい天気ですね!」


庵 「そうだね。」


違う!そんなことが言いたいんじゃなくて!!


ちよこ 「あっあのパンケーキは好きですか?」


庵 「パンケーキ?」


なんでここでパンケーキが出てくるわけ私ったらー!


ちよこ 「あれおいしいですよね!私、この前はじめて食べたんですよ!
     今までお団子一筋だったから、あんなおいしいものがあったなんて…」


あれ…。


ちよこ 「すみません!私ったら一人でベラベラと…」


いつもの変わらぬ笑顔で先輩は笑ってこう言った。


庵 「やっぱりちよこちゃんはおもしろいね!」


ちよこ 「え?あっそうですかね。ありがとうございます。」


庵 「パンケーキと言えば今度の文化祭で僕のクラスの模擬店がパンケーキに決まったよ。」


ちよこ 「えっ?そうなんですか?私のクラスもです!!」


庵 「ほんとに?!一緒だね。」


庵につられてちよこも笑う。
そんな様子を物陰から見ていた人物がいた。


茉莉花 「…なんでまた、あの子が庵といるの?」


黒いオーラが茉莉花を包み込んだ瞬間だった。


庵 「でも…僕は好きだな。」


ちよこ 「へっ?」


好き…?


庵 「お団子!またちよこちゃんのおうちに食べに行ってもいいかな?」


ちよこ 「もちろん!!」


一瞬ドキってしたけど
先輩もお団子が好きなんだ!!
それはそれで嬉しい!!


ちよこ 「うーやっほーい!!」

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