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第23話

23話
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2026/01/16 15:00 更新
場所は、ロスサントス郊外の無人倉庫。

あえて中立地帯。

誰の縄張りでもない。

薄暗い照明の下、三人が向かい合って座っていた。

ヴァンダーマー。
MOZUのボス。

レダー・ヨージロー。
868の中核。

Mon D。
ALLINの顔役。

先に口を開いたのは、ヴァンダーマーだった。
ヴァンダーマー
……最近、“猛獣”って名前をよく聞く
低く、感情を乗せない声。
ヴァンダーマー
そっちは?
レダーが、肩をすくめる。
レダー ヨージロー
俺らも手を出したが返り討ちにされて、満身創痍だ
Mon Dが、苦笑する。
Mon D
うちも医者の件で少しな
白虎に止められた
ヴァンダーマーの目が、わずかに細くなる。
ヴァンダーマー
……直接か?
Mon D
圧だけでな
撃ち合いになる前に引いた
その言葉に、場の空気が一段落ちる。
レダー ヨージロー
猛獣は、派手じゃない
レダーが言う。
レダー ヨージロー
だが、判断が早い
引く時は引く、詰める時は一気に来る
Mon Dが、指を組む。
Mon D
医者、個人医を抱えてる
裏で治してるらしい
あれは、戦力だぞ
ヴァンダーマーは、即座に否定する。
ヴァンダーマー
……違う
二人が、ヴァンダーマーを見る。
ヴァンダーマー
医者は、“核”だ
奪おうとしたら、全面戦争になる
だから俺は、最初から引いた
レダーが、低く笑う。
レダー ヨージロー
さすがだな
知らずに突っ込んだ俺らは、悲惨だったが
Mon Dが、静かに言う。
Mon D
猛獣の白虎
ありゃ、感情で動かない
でも、仲間の線だけは絶対に越えさせてくれない
一瞬、沈黙。

ヴァンダーマーが、結論を口にする。
ヴァンダーマー
猛獣には、手を出すな
医者にも、情報屋にもだ
向こうから噛みついてこない限り、基本は放置だ
レダーが、頷く。
レダー ヨージロー
868も同意だ
得るものがない
Mon Dは、少し考えてから言った。
Mon D
ALLINも、同じ判断にする
……正直、割に合わねぇ
立ち上がる音。
ヴァンダーマー
ただし
ヴァンダーマーが、最後に言う。
ヴァンダーマー
覚えておけ
猛獣は、まだ成長途中だ、今は小さい
だが ── 完成したら、ロスサントスの“均衡”を変える
レダーが、口角を上げる。
レダー ヨージロー
面白くなってきたな
Mon Dは、静かに上着を羽織る。
Mon D
近づかないのが、一番賢い
三人は、別々の出口から去っていった。

同じ結論を、それぞれの言葉で抱えながら。

── 猛獣には、触れるな。

それが、裏社会に共有され始めた新しい常識だった。
主
おつレイ

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