水色の髪の毛を揺らし、パチパチと目を瞬く
女の子は珠乃井ナナ…もといナナちゃんだ。
相談してと前から言ってくれた子はもちろん
ナナちゃんで私が唯一心を許せるお友達。
うーん…と唸るように煮え切らない声を出すと
ナナちゃんがカウンターのこちら側に
更に身を乗り出す。
唐突に私の後ろから聞こえた声にぎゃーっ!!と
うるさすぎる悲鳴をあげるナナちゃん。
店内に私達しか居なくてよかったと安堵しつつ
反射でパッと後ろを振り返ると至近距離で
風楽さんと目が合って。
いつものことかと、そのままにしようとしたとき
昨日のことが頭にひとつひとつ思い浮かばれる。
優しい声に触れた体温。
暗闇の中で見えた顔と眠そうにとろけた顔。
それに、心配してくれたときの壊れ物を触る
みたいな手の感触とほのかに赤らんだ耳。
体がじんと熱くなって、じわりと額に
汗が浮かんだ気がした。
距離が近すぎたことにやっと気付いたのか
慌てたように離れる風楽さん。
お互いから視線を逸らしてどことなく
ナナちゃんの方に視線を向けると声を抑えるように
して口元に余った袖を添えて、キラキラした目で
こちらを見つめていた。
コーヒーを淹れて言われた通り砂糖を
ザバザバといれる。
固まった様子だった風楽さんもやっと動き出して
何か仕事がないかとうろちょろしだすも、
何もなかったようでストンとカウンター内の
席に腰掛ける。
頭を冷やすようにザバっと更に砂糖を入れて
ナナちゃんに渡すと嬉しそうに頬を緩めて
受け取り、カップに口をした途端
また響き渡った声。
コーヒーがしょっぱいという事実に驚愕が隠せず
困惑していると、顔を歪めて水を求める
ナナちゃんの声が耳に入って慌てて水を用意する。
そのとき、水の入ったコップを置こうとして
つるりと手が滑る。
瞬間、私の手の上に重なった一回り大きい手。
触れるときに甘くて爽やかなあの香りがして、
まだシャンプーの香りがそれに残っていて。
「あ」と声をもらしたときにはコップが
キャッチされていた。
せっかくキャッチしてくれた水をこぼれそうな
くらい勢いよくナナちゃんに受け渡すと
がぶがぶと水を一気飲みしてぜえはあと
肩で息をするナナちゃん。
ナナちゃんには申し訳ないけど頭の中は
風楽さんの言葉がぐるぐると頭で回っていて
消えなくて。
呆れているような、いつもと変わらない
優しい微笑みがじわりと心臓に染み渡って、
どくどくとうるさくなっていた。
困惑している私達をよそにナナちゃんが
にやりと口角をあげて音を奏でる。
『 ふたりでおでかけとかしてみたら? 』
急な提案に目を見開いて、同じような表情を
している風楽さんの横顔を思わず見た。
なんと当方、活動1周年を迎えました!!
ぜひ見に来てくださいな♪ ↓↓













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。