🩷「……ねぇ」
🩷「……………ねぇって!」
💚「っえ?!何?」
🩷「昨日何してたの?」
💚「は?…何で?」
🩷「…顔が緩いよ?」
💚「………緩んでないわ」
本人はそう言ってるけど
俺から見たら明らかに緩いその口元。
まぁ理由があなたちゃんだって事は
分かりきってるんだけど
俺も意地悪だからわざとわかんないフリをする。
上手くいってるなら
阿部ちゃんが幸せそうなら
俺はそれだけでいいんだけどさ。
俺にはたびがいるし?
その後仕事をしていると
今度は阿部ちゃんから話しかけてきた。
💚「ねぇ、佐久間」
🩷「なにー?」
💚「佐久間は彼女に自分の仕事は探偵だって言う?」
🩷「俺彼女いないもん。嫁は沢山いるけど」
💚「…じゃなくて。マジなやつ」
🩷「ごめんて。…んー。俺は言うよ?
だから俺には嘘つけないからねって脅し文句も一緒に」
💚「…俺、まだ言ってないんだよね。あなたちゃんに」
🩷「え?そうなの?」
💚「やっぱり…言いずらくて…」
🩷「…もし、探偵だって教えてもさ?
あなたちゃんが調査対象だった件を言わなければ
それでいいんじゃないの?」
💚「まぁそうかもしれないけど…」
俺が怖いのは
俺が探偵をしていると知られる事ではなくて
いつかそこからもっと深い所まで知ったあなたちゃんが
俺に幻滅して離れていってしまう事だ。
あれから何度目かのデート。
今日は恋人達がこぞってデートをする日。
クリスマスイブ。
吐く息は真っ白になるほど寒いけど
クリスマスムードを満喫する為に
イルミネーションを見に行く。
信号待ちをしている間
「…冷えるねぇ」
少しでも暖をとろうとカイロを持った手に息を吹きかける。
💚「…ねぇ、本当は後で渡すつもりだったけど
先に渡していい?」
「え?」
💚「今、使って?」
すると、亮平くんはクリスマスラッピングの袋を
私に差し出した。
そのタイミングで信号が青に変わる。
💚「ちょっとこっちおいで」
と道の端によって、私は袋を開ける。
中から出てきたのはフワフワのベージュの手袋。
💚「どうせなら今から使ってもらおうと思って。
俺からのクリスマスプレゼントです。」
「…ありがとう!」
「ねぇ、私も今、渡していい?」
💚「いいの?」
私も準備していたクリスマスプレゼントを手渡す。
袋を覗き込んだ亮平くんが驚く。
💚「…え、ほんとに?!」
亮平くんが袋から取り出したのは手袋。
そう、プレゼントはまさかの被り。
2人でお互いにプレゼントし合った手袋をはめる。
顔の前で両手を広げあって
似合うね、そっちも、なんて褒めあって。
すると、亮平くんが目線を外して
広げていた私の手を取って歩き出す。
何度もデートはしてきたけど
初めて亮平くんに繋がれた手。
泣いている時に抱きしめられた時ぶりの
亮平くんの温もり。
嬉しい。嬉しいのに。
間に隔たる2枚の布の壁が
なんだかもどかしく感じた。










編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。