第30話

30.
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2023/12/02 13:00 更新
🩷「……ねぇ」



🩷「……………ねぇって!」



💚「っえ?!何?」



🩷「昨日何してたの?」



💚「は?…何で?」



🩷「…顔が緩いよ?」



💚「………緩んでないわ」



本人はそう言ってるけど
俺から見たら明らかに緩いその口元。

まぁ理由があなたちゃんだって事は
分かりきってるんだけど
俺も意地悪だからわざとわかんないフリをする。

上手くいってるなら
阿部ちゃんが幸せそうなら
俺はそれだけでいいんだけどさ。







俺にはたびがいるし?
その後仕事をしていると
今度は阿部ちゃんから話しかけてきた。



💚「ねぇ、佐久間」



🩷「なにー?」



💚「佐久間は彼女に自分の仕事は探偵だって言う?」



🩷「俺彼女いないもん。嫁は沢山いるけど」



💚「…じゃなくて。マジなやつ」



🩷「ごめんて。…んー。俺は言うよ?
だから俺には嘘つけないからねって脅し文句も一緒に」



💚「…俺、まだ言ってないんだよね。あなたちゃんに」



🩷「え?そうなの?」



💚「やっぱり…言いずらくて…」



🩷「…もし、探偵だって教えてもさ?
あなたちゃんが調査対象だった件を言わなければ
それでいいんじゃないの?」



💚「まぁそうかもしれないけど…」



俺が怖いのは
俺が探偵をしていると知られる事ではなくて
いつかそこからもっと深い所まで知ったあなたちゃんが
俺に幻滅して離れていってしまう事だ。
あれから何度目かのデート。


今日は恋人達がこぞってデートをする日。


クリスマスイブ。


吐く息は真っ白になるほど寒いけど
クリスマスムードを満喫する為に
イルミネーションを見に行く。
信号待ちをしている間



「…冷えるねぇ」



少しでも暖をとろうとカイロを持った手に息を吹きかける。



💚「…ねぇ、本当は後で渡すつもりだったけど
先に渡していい?」



「え?」



💚「今、使って?」



すると、亮平くんはクリスマスラッピングの袋を
私に差し出した。

そのタイミングで信号が青に変わる。



💚「ちょっとこっちおいで」



と道の端によって、私は袋を開ける。
中から出てきたのはフワフワのベージュの手袋。



💚「どうせなら今から使ってもらおうと思って。
俺からのクリスマスプレゼントです。」



「…ありがとう!」



「ねぇ、私も今、渡していい?」



💚「いいの?」



私も準備していたクリスマスプレゼントを手渡す。
袋を覗き込んだ亮平くんが驚く。



💚「…え、ほんとに?!」



亮平くんが袋から取り出したのは手袋。
そう、プレゼントはまさかの被り。

2人でお互いにプレゼントし合った手袋をはめる。

顔の前で両手を広げあって
似合うね、そっちも、なんて褒めあって。

すると、亮平くんが目線を外して
広げていた私の手を取って歩き出す。


何度もデートはしてきたけど
初めて亮平くんに繋がれた手。

泣いている時に抱きしめられた時ぶりの
亮平くんの温もり。

嬉しい。嬉しいのに。
間に隔たる2枚の布の壁が
なんだかもどかしく感じた。

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