第10話

2月14日。君に②
9
2025/02/16 11:40 更新
私ー朝は、作ったチョコレートを手に、朱羽の部屋の前に立っていた。
今日は、絶対に渡す。何があっても。
そう決めていた。
勇気を出して、こんこん、と部屋をノックする。
ガチャ、と扉が開いた。
上杉朱羽うえすぎしゅう
あ……………朝か。
朱羽は、なぜか歯切れ悪く言う。
少し不思議に思って、
_佐治@さじ__朝@あさ_
佐治さじあさ
どうしたの?
と聞く。
上杉朱羽うえすぎしゅう
………ちょっと、相談があって。
朱羽はそう言うと、手招きして私を部屋の中に入れてくれる。
扉が、がちゃん、としまった。
上杉朱羽うえすぎしゅう
………………………俺、菜ノ花のこと。好きなんだ。
………告ろうと、思ってて。
目の前が、真っ暗になった気がした。
無意識に、手に持っていた、チョコレートの箱を服の下に隠す。
上杉朱羽うえすぎしゅう
……どう、思うかな……?
朱羽は、顔を真っ赤にして、私に言う。
……………………顔、赤すぎて、朱羽のファンのペンライトみたい。
何にも関係ないのに、そう思った。
視界が、ジワリと歪む。
あぁ、私の恋は、もう、終わりなんだ。
涙が溢れないように、顔をあげて。
大好きな人に、私が向ける、最幸さいこうの笑顔を。
_________________ごめん、菜ノ花。これで、最後にするから。
菜ノ花は、橙矢のことが好きだと分かっていても、なぜかそう思ってしまう。
_佐治@さじ__朝@あさ_
佐治さじあさ
………いいと思うよ。
………告白、頑張ってね。
上杉朱羽うえすぎしゅう
………おぅ。
もう、私の恋は終わった。
部屋を出ようとすると、後ろから、おい、と声をかけられる。
_佐治@さじ__朝@あさ_
佐治さじあさ
……何?
上杉朱羽うえすぎしゅう
ありがとな。………俺、頑張る。
輝かしい、笑顔。
あぁ、なんで、君はそんなにずるいんだろう。
なんで、私じゃななかったんだろう。
菜ノ花のことが好きなら、私に向けて、そうやって笑わないでよ…。
涙が一筋、頬を流れた。
朱羽にバレたくなくて、そのまま部屋を出る。
自分の部屋に入った瞬間、もうダメだった。
チョコレートの箱を地面に投げつける。
_佐治@さじ__朝@あさ_
佐治さじあさ
なんで……っ!なんで……………!!
涙が次から次へとでてくる。








悲しい、悲しいバレンタイン。
チョコの箱を拾って、一つ取り出して食べる。
甘い甘いチョコは、涙のせいで、とても塩辛い味がした。

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