第3話

恋心と嫉妬心と劣等感と
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2024/05/06 10:05 更新



両親の説教に一時間近く耐えて、やっと自分の部屋に帰ってくる。
あなた
…あ゛〜……またテストで変なとこミスってた…
注意力散漫なのかな……?
今日返されたテスト用紙の✓の数に目眩がする。
また、お姉ちゃんと同じくらいになれなかった。
あなた
前より増えてる……小さなスペルミスが難点かな…?


いつからだろう。


姉を超えたいという思いが、人生の道標になったのは。
あなた
…私じゃダメですかね〜…?
みんなから尊敬されるのもお姉ちゃん
みんなに褒められるのもお姉ちゃん
みんなに好かれるのもお姉ちゃん
あなた
…お姉ちゃんみたくならなきゃ、!


その時。
ドアからコンコン、と固い音が鳴った。
あなた
あ、入っていいよ〜、




ドアからするりと入ってきたのは、お姉ちゃんだった。
催原 響
催原 響
あ、ごめんね、勉強中だったかな、?!
あなた
今復習終わったところ!大丈夫、気にしないで〜。
催原 響
催原 響
そ、それならいいけど…
あんまり無理しないでね…?
あなた
うん!体調崩したら元も子もないからね〜
それで、何か用事?
お姉ちゃんが私に用事?変なの。
だいたいお姉ちゃん一人でできるから、私に頼ることなんてなかったのに。

催原 響
催原 響
わ、私、今月中には凪くんに告白しようと思ってて…!



あなた
そっ、か。良いんじゃない、?
催原 響
催原 響
だから、あなたにも協力して欲しくて…
明日から一緒に帰りたいの!
あなた
私はいいよ〜!明日誠士郎に聞いて…




催原 響
催原 響
何言ってるの、私と凪くんの二人でだよ?



あなた
…あ、三人で…とかじゃなくて…?
催原 響
催原 響
うん、だから明日から
あなたには一人で帰ってもらいたくて!
あ、え、えー…マジか、
あなた
あ、うん…分かった……
催原 響
催原 響
ありがとうっ!あなたは優しいね…!
催原 響
催原 響
私のために踏み台になってくれてるから、
たまには私に協力させてあげるのもいいかなって…!
あなた
…ん、?
催原 響
催原 響
ほら、私って絶対凪くんに
好かれるに決まってるよね?

だって、お母さん似で容姿も可愛いし
勉強出来るし、運動も出来るし、
料理も出来るし、性格も良いし!
催原 響
催原 響
万が一の為にも、あなたにはいなくなってもらわなきゃだなって!
催原 響
催原 響
あなたと比べても、私が一番なのは変わらないし!
あなた
え、ちょちょ…
さっきから私のことすごい言うね!w
昔から言われ慣れてきたはずの言葉が、古傷だらけの心を抉っていく。
催原 響
催原 響
だってあなたは死んだ親戚の子でうちの子じゃないんだし、出来が違って、愛されないのは当たり前じゃない?
あなた
そんな、生まれで全部決まるわけじゃ…







催原 響
催原 響
決まんだよ。黙れよ出来損ない。
地を這うような低い声に、喉が鳴る。
催原 響
催原 響
あのさぁ、前から思ってたけど
アンタ、凪くんに近付きすぎなんだって。
催原 響
催原 響
私のために全部尽くしなさいよ。
妹でしょ?
あなた
ッ、あ、えと…ごめんなさい…
催原 響
催原 響
うん!それでいいの〜!
催原 響
催原 響
やっぱりあなた大好き!流石私の妹〜!
お姉ちゃんは私に抱きつく。
催原 響
催原 響
じゃあ、明日からよろしくね!



あなた
…どうしよう……




どうしようどうしよう



また一人になっちゃうよ。

もう現実は嫌だよ。

私は、なんのための存在なの?

お姉ちゃんを際立たせるためだけの背景?

これからもずっとそうなの?




嫌だよ。




誠士郎だけなの、私には誠士郎しかいないんだ。






お姉ちゃんに抱き締められた時、
人間ってこんなに冷たいんだって思った。

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