両親の説教に一時間近く耐えて、やっと自分の部屋に帰ってくる。
今日返されたテスト用紙の✓の数に目眩がする。
また、お姉ちゃんと同じくらいになれなかった。
いつからだろう。
姉を超えたいという思いが、人生の道標になったのは。
みんなから尊敬されるのもお姉ちゃん
みんなに褒められるのもお姉ちゃん
みんなに好かれるのもお姉ちゃん
その時。
ドアからコンコン、と固い音が鳴った。
ドアからするりと入ってきたのは、お姉ちゃんだった。
お姉ちゃんが私に用事?変なの。
だいたいお姉ちゃん一人でできるから、私に頼ることなんてなかったのに。
あ、え、えー…マジか、
昔から言われ慣れてきたはずの言葉が、古傷だらけの心を抉っていく。
地を這うような低い声に、喉が鳴る。
お姉ちゃんは私に抱きつく。
どうしようどうしよう
また一人になっちゃうよ。
もう現実は嫌だよ。
私は、なんのための存在なの?
お姉ちゃんを際立たせるためだけの背景?
これからもずっとそうなの?
嫌だよ。
誠士郎だけなの、私には誠士郎しかいないんだ。
お姉ちゃんに抱き締められた時、
人間ってこんなに冷たいんだって思った。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。