校門を抜けて、
緩やかな坂道を登った先にある
学生寮へと向かう
私は、両手に抱えた厚みのあるファイルの束を
持ち上げ直す。
女子が持つには地味に重い。
対してヨシは
私の倍以上の荷物を軽々と持ち上げている
皮肉たっぷりにそう呼ぶと
彼は足を止めて私の方を振り向く
至近距離で顔を覗き込まれて、
心臓が跳ねそうになる。
ほんと、食えない男…!
そうして、いつのまにかついていた寮。
エントランスを抜けると
広々とした共有ロビーがあった。
授業が終わったばかりからか、
人一人いなかった
男女合同寮とは言え、
生活感がありながらも清潔に保たれている
机の上に資料を置くと、
指先にファイルの跡が赤く残っていた
資料を置いたヨシは
共有スペースの奥にある、
キッチンカウンターへと向かった
有無を言わさない微笑み。
私は仕方なく、ソファに腰を下ろした














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。