放課後の帰り道、夕暮れに染まる街並みはどこか非現実的で、私の目にはやはり色褪せて映っていた。
隣を歩く焦凍は、何度も私の様子を伺うように視線を落としてくる。
その瞳には、今にも崩れ去ってしまいそうな硝子細工を見るような、痛々しいほどの心配が滲んでいた。
焦凍が私の手首をそっと掴む。
その手はいつも、半分は冷たく、半分はひどく熱い。
言葉を返す気力すらなく、私はただ、小さく頷くことしかできなかった。
私の心はとうに限界を迎えていた。
燈矢を救えなかったあの日から、中身はすべて削ぎ落とされ、今はただ肉体という器だけが動いている。
そんなからっぽの私を支えるように、焦凍は私の体をそっと引き寄せた。
肩が触れ合い、彼の体温が伝わってくる。
お互いの肌が触れ合うその一瞬だけは、底なしの沼に沈んでいくような私の心に、かろうじてかすかな安心感が湧き上がった。
焦凍は、そんな私という存在のすべてに焦がれていた。
差し出された彼の愛は、狂おしいほどに純粋で、そして重い。
けれど、私の胸を満たすのは、彼への好意ではなかった。
脳裏にこびりついて離れないのは、圧倒的な罪悪感と、自分に対する果てしない嫌悪感だけだ。
燈矢くんを見殺しにした罪から逃げるために、私はこの優しい幼馴染を利用している。
彼の好意を都合のいい麻酔代わりに使い、彼自身の未来をも私の暗闇に巻き込んでいる。
私が生きている目的とは、一体何なのだろう。
私のせいで、焦凍を縛り付けてしまっているのではないか。
こんな泥のような私など、最初からいなかったことにして、彼はもっと眩しいヒーローの道を歩むべきなのだ。
ぽつりと溢れた言葉に、焦凍は息を呑み、私の手を壊れ物を扱うように強く握り締めた。
その悲痛な表情を見つめながら、私はやはり、冷めた目で自分を見限っていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!