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第1話

1 溶けて、焦げて、消えるまで
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2026/07/13 06:56 更新







あなた
ねえ。私たち、別れよう。









いざその言葉を口にすると、フッと肩の荷が下りた。


別に、嫌いになったんじゃない。


むしろその逆だ。


境界線が見えなくなるくらいに溶け合って、依存し合う私たち。



このままだと、私が私を殺してしまう。




私は私が大嫌いだから。




そうなってしまうくらいなら、君の手で殺してほしかった。


私の命を奪って、私という人間を葬った重い罪を、その背中に一生背負って生きていてほしい。


そんな最悪で、最高な呪いを君に掛けたくて、私は別れを切り出したのだ。


私の決意の言葉を受け止めた荼毘は、火傷の皮膚を歪ませて、酷く退屈そうに鼻で笑った。


荼毘
あっそ。


感情の読めない、いつも通りの低い声。


引き止められもしない。


怒られもしない。


ただそれだけの拒絶。




だけど、彼の青い瞳の奥で、小さな火花がチリッと爆ぜたのを、私は見逃さなかった。









私の個性は、あまりに悪趣味で、残酷なものだ。



個性「終幕フィナーレ



自分の寿命を削り、その削った時間の分だけ先の『結末』を視ることができる。


ただし、視てしまった未来は、絶対に誰にも話してはならない。



もし話せば、その瞬間に個性の掟によって命を奪われる。



自分の命にこれっぽっちも価値を見出せなかった私は、ある日、パンドラの箱を開けるように、何十年もの寿命を一気に削り取ってしまった。



愛して、依存して、境界線が溶けるほど混ざり合っていた——荼毘と私の、未来の『結末』を覗き見るために。



真っ黒な視界の先で、私は視た。



寒空の下、真っ暗な海に一人寂しく身を投げる自分の姿を。



そこには、彼の姿はどこにもなかった。



私は最後の瞬間まで、彼を失った孤独の中で、一人で死んでいくのだ。



ハッピーエンドなんて、存在しなかった。



——-どうせ死ぬ運命なら、愛おしい貴方。私を殺して。







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