いざその言葉を口にすると、フッと肩の荷が下りた。
別に、嫌いになったんじゃない。
むしろその逆だ。
境界線が見えなくなるくらいに溶け合って、依存し合う私たち。
このままだと、私が私を殺してしまう。
私は私が大嫌いだから。
そうなってしまうくらいなら、君の手で殺してほしかった。
私の命を奪って、私という人間を葬った重い罪を、その背中に一生背負って生きていてほしい。
そんな最悪で、最高な呪いを君に掛けたくて、私は別れを切り出したのだ。
私の決意の言葉を受け止めた荼毘は、火傷の皮膚を歪ませて、酷く退屈そうに鼻で笑った。
感情の読めない、いつも通りの低い声。
引き止められもしない。
怒られもしない。
ただそれだけの拒絶。
だけど、彼の青い瞳の奥で、小さな火花がチリッと爆ぜたのを、私は見逃さなかった。
私の個性は、あまりに悪趣味で、残酷なものだ。
個性「終幕」
自分の寿命を削り、その削った時間の分だけ先の『結末』を視ることができる。
ただし、視てしまった未来は、絶対に誰にも話してはならない。
もし話せば、その瞬間に個性の掟によって命を奪われる。
自分の命にこれっぽっちも価値を見出せなかった私は、ある日、パンドラの箱を開けるように、何十年もの寿命を一気に削り取ってしまった。
愛して、依存して、境界線が溶けるほど混ざり合っていた——荼毘と私の、未来の『結末』を覗き見るために。
真っ黒な視界の先で、私は視た。
寒空の下、真っ暗な海に一人寂しく身を投げる自分の姿を。
そこには、彼の姿はどこにもなかった。
私は最後の瞬間まで、彼を失った孤独の中で、一人で死んでいくのだ。
ハッピーエンドなんて、存在しなかった。
——-どうせ死ぬ運命なら、愛おしい貴方。私を殺して。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。