<冨岡side>
悲鳴がした方にいる手で身体を成している巨体を持つ鬼は、ある参加者を喰らわんとしていた。
炭治郎は木の影で恐怖するように震えていたが、覚悟を決めたように息を吐くと、飛び出して行った。
そして、高速で鬼に近寄り、『水の呼吸 弐の型
水車』で鬼の腕を断ち切る。
腕はしゅるしゅると鬼の所へ戻っていき、参加者は真っ青な顔で炭治郎の後ろで蹲っていた。
鬼は炭治郎を見て、炭治郎の厄除の面を見て、明らかにニタリと笑みを浮かべた。
狐。
師匠が渡してくれるお面は狐の形をしているから、それを言っているのだろう。
それにしても、、、『また』とは。
何かありそうだ。
そう思っていると、鬼はたくさんある指を使って、数を数え始めた。
14、、15で鬼は炭治郎を指さした。
お前で15だ、と。
師匠を知っている。
そして、師匠の弟子はみんな殺してやると決めているという言葉。
俺はこの鬼は知らない。
そして、最終選別にいてはならないくらいの強さを持つであろうこの鬼。
─────まさか。
鬼はそう言うと、大きな目玉をギョロリと動かして、炭治郎を見た。
鬼は呟くように、噛み締めるように言うと、ハッと目を見張る。
そして、大きな、たくさんある手を地面に打ち付け、気を薙ぎ倒し、叫んだ。
それから、この鬼は師匠を憎み、恨み、師匠が選別に出した弟子を全員殺しているそうだ。
師匠が、また弟子が帰らないと知って歪めた顔を想像しながら。
師匠さんは、弟子には必ず狐の厄除の面を持たせるから、それを目印にして。
無事に最終選別を乗り越えられるようにと持たせている厄除の面が鬼を誘き寄せていただなんて、とんでもない皮肉だ。
ハッとした。
2人目の女は知らないが、1人目は確実に錆兎のことだ。
宍色の髪で口に傷がある人間なんてそうそうこの世に存在しない。
自然と、呼吸が荒くなる。
コイツが、コイツが錆兎の仇だとは。
俺の過去を知っている他の柱達は、チラチラと様子を伺うように俺を見る。
だから俺は、逆に冷静になれた。
何度も深呼吸を繰り返し、荒ぶる気持ちを無理矢理押さえつける。
鬼を見て、炭治郎を見て、少しだけ目を細めた。
鬼がそこまで言った時、炭治郎は怒りに満ちた表情で駆け出し、攻撃を繰り出した。
だが、その攻撃はいとも容易くかわされ、炭治郎の身体は弾き飛ばされた。
頭を木に打ち付け、面が割れる。
鬼がそちらに向かっているのを見て、炭治郎が庇った参加者は逃げ出した。
まあ、あの調子だからここで生き残ることはできないだろう。
鬼狩り炭治郎を殺そうと手を伸ばした時、炭治郎はハッと目を開けて刀で手を弾いた。
すっかり死んだと思い込んでいたらしい鬼は少し驚いたような顔をしたものの、その顔に焦りは浮かんでいなかった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。