第11話

最終選別《中》
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2025/12/13 07:00 更新
<冨岡side>
悲鳴がした方にいる手で身体を成している巨体を持つ鬼は、ある参加者を喰らわんとしていた。

炭治郎は木の影で恐怖するように震えていたが、覚悟を決めたように息を吐くと、飛び出して行った。

そして、高速で鬼に近寄り、『水の呼吸 弐の型
水車』で鬼の腕を断ち切る。

腕はしゅるしゅると鬼の所へ戻っていき、参加者は真っ青な顔で炭治郎の後ろで蹲っていた。

鬼は炭治郎を見て、炭治郎の厄除の面を見て、明らかにニタリと笑みを浮かべた。
また来た。俺の可愛い狐が。
狐。

師匠せんせいが渡してくれるお面は狐の形をしているから、それを言っているのだろう。

それにしても、、、『また』とは。

何かありそうだ。

そう思っていると、鬼はたくさんある指を使って、数を数え始めた。

14、、15で鬼は炭治郎を指さした。

お前で15だ、と。
過去の竈門炭治郎
な、、、何の数だ!!
俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ。アイツの弟子はみぃんな殺してやるって決めてるんだ。
師匠せんせいを知っている。

そして、師匠せんせいの弟子はみんな殺してやると決めているという言葉。

俺はこの鬼は知らない。

そして、最終選別にいてはならないくらいの強さを持つであろうこの鬼。

─────まさか。
mob.
嘘だ!ここには、人間を2、3人喰った鬼しか入れてないんだ!選別で斬られるのと、鬼は共食いするから、、、それで、、、!
それでも俺はずっと生き残ってる。この藤の花の牢獄で。50人は食ったなぁ、ガキ共を。
鬼はそう言うと、大きな目玉をギョロリと動かして、炭治郎を見た。
狐小僧。今は明治何年だ?
過去の竈門炭治郎
、、、!?今は大正時代だ。
たいしょう、、、、?
鬼は呟くように、噛み締めるように言うと、ハッと目を見張る。

そして、大きな、たくさんある手を地面に打ち付け、気を薙ぎ倒し、叫んだ。
あああああああ!!!!年号がァ!年号が変わっているゥ!!鱗滝め鱗滝め鱗滝め鱗滝めえええええええ!!!!
過去の竈門炭治郎
どうして鱗滝さんを、、、
知っているさァ!俺を捕まえたのは鱗滝だからなァ!!忘れもしない47年前。アイツがまだ鬼狩りをしていた頃だ。江戸時代、、、慶応の頃だった!!
それから、この鬼は師匠せんせいを憎み、恨み、師匠せんせいが選別に出した弟子を全員殺しているそうだ。

師匠せんせいが、また弟子が帰らないと知って歪めた顔を想像しながら。

師匠せんせいさんは、弟子には必ず狐の厄除の面を持たせるから、それを目印にして。

無事に最終選別を乗り越えられるようにと持たせている厄除の面が鬼を誘き寄せていただなんて、とんでもない皮肉だ。
そうだなァ。特に印象に残っているのは2人だな、あの2人。珍しい毛色のガキだったな。いちばん強かった。宍色の髪をしてた。口に傷がある。もう1人は花柄の着物で女のガキだった。小さいし力もなかったが、すばしっこかった。
ハッとした。

2人目の女は知らないが、1人目は確実に錆兎のことだ。

宍色の髪で口に傷がある人間なんてそうそうこの世に存在しない。

自然と、呼吸が荒くなる。

コイツが、コイツが錆兎の仇だとは。

俺の過去を知っている他の柱達は、チラチラと様子を伺うように俺を見る。

だから俺は、逆に冷静になれた。

何度も深呼吸を繰り返し、荒ぶる気持ちを無理矢理押さえつける。

鬼を見て、炭治郎を見て、少しだけ目を細めた。
1人目は強かったが、首を斬ることができなかった。首を斬り損ねたところで頭を潰して殺してやった。2人目はたくさんの狐を殺したことを話してから怒ってすぐ動きがガタガタになってきたからなァ。手足を引きちぎってそれからなァ、、、!
鬼がそこまで言った時、炭治郎は怒りに満ちた表情で駆け出し、攻撃を繰り出した。

だが、その攻撃はいとも容易くかわされ、炭治郎の身体は弾き飛ばされた。

頭を木に打ち付け、面が割れる。

鬼がそちらに向かっているのを見て、炭治郎が庇った参加者は逃げ出した。

まあ、あの調子だからここで生き残ることはできないだろう。

鬼狩り炭治郎を殺そうと手を伸ばした時、炭治郎はハッと目を開けて刀で手を弾いた。

すっかり死んだと思い込んでいたらしい鬼は少し驚いたような顔をしたものの、その顔に焦りは浮かんでいなかった。

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