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第6話

🎐 6 🎐
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2026/03/25 08:20 更新
 
朝の光で満たされた保健室。

最初こそ消毒の匂いは鼻についたが、
今となっては落ち着く匂いへと変わっていた。

クルクルと回る先生用の椅子に座り足を揺らしていると、
静寂を切り開くように保健室の扉が開け放たれた。

普通に扉が外れてもおかしくない威力で
開けるのやめて頂きたい。
 
梅宮.
あなたの下の名前あなたの名前の最後の文字の母音〜!!!久しぶりだな!
あなた
さっきぶりでしょ。
 
案の定、扉を開けたのはお兄ちゃんで
両手を広げながら私に走ってこようとしていた。

制服の襟を登馬くんに掴まれて広げた腕は無意味に終わった。
 
柊.
あと2分で放送を始める時間なんだ。
あなたの下の名前ちゃんに抱きついてる暇はねぇぞ。
梅宮.
だからってさぁ、襟掴むなよ〜…
首締まったら危ないだろ!?
柊.
あ‘’〜、クソ…
お前が変なことするから予定がズレていく。
 
襟を正すお兄ちゃんを見て胃を抑えた挙句、
懐から取り出したガスクン10…胃薬を掌に無造作に出して口に放り込んでいる登馬くん。

胃薬ってそんなラムネ感覚で飲み込むものじゃないはずなんだけどな…
 
 
梅宮.
あーあー、あいうえお いうえおあ うえおあい!
 
何やかんやで放送室に着いた。
放送を始めようとしていた時間よりも5分遅れ。
登馬くんの胃が心配だ。
 
梅宮.
えーっと、どこのスイッチ押せばいいの?
あなた
お兄ちゃん、音もう入ってるよ。
梅宮.
えっ、もう入ってんの!?
言ってよもー…
柊.
言ったろ!!
 
初っ端から最悪だ。
総代としての威厳をこの放送で見せて欲しかったのだが…
そんなことお兄ちゃんにできるわけがなかった。

放送室の端っこで1人頭を抱えていると、
お兄ちゃんが大きく息を吸い込んだ。
 
梅宮.
諸君!!入学おめでとーう!!
柊.
バッカ、声デケーよ普通でいいんだよ!!
梅宮.
え‘’え‘’ん!?だって最初の挨拶だし…
柊.
ただでさえ地声がでけーのに学校の外からも苦情が来るぞ!?
梅宮.
ん‘’ん‘’、んじゃまぁ気を取り直して…
ボウフウリン総代 梅宮一だ。
 
さっきの脳に響くような大声から切り替えられて
静かな低音が学校中に響く。

静かにしていれば威圧感の漂う総代なのだ。
静かにしていればの話だが…
 
梅宮.
えー…ごめん。言うこと忘れちった…
あなた
はぁ…
梅宮.
あぁ、そうだ。お前らぁ青春しろよ?青春!!
せっかく高校へ来たんだからな!たくさん思い出作って有意義に過ごせよ!
柊.
はぁ…胃が痛てぇ。
梅宮.
海とか山とか行くのもいいな!ちなみに俺は海派だ!
よっしゃあ今年の夏はみんなで海行こーぜ!カキ氷食おうぜ!!
あなた
どーでも良すぎて禿げそう。
梅宮.
あー、つい癖でみんなでとか言っちゃったけど…
これだけ人数が集まれば合わねーやつもいるだろうしこれから色々あるだろう。
ま!流石に初日から殴り合いの喧嘩はないと思うけどな!
仲良くしろとは言わないけど上手くやんなさいね。
 
いつ終わるんだ、この放送は。
私が放送室に来た意味はあるのか。
そんなことどうでもいい。

早く終わらないと登馬くんが
激しい胃痛に襲われて倒れてしまう。
 
梅宮.
まぁ、それでだな…これだけは言っとかねーとな。
お前ら…街を守れ。俺達が貰った名前は防風“鈴”。
その名に違わず人を 物を 思いを、大切な物を守れ。
それがここの唯一のルールだ。
 
お兄ちゃんが淡々とそう告げると、
校舎の至る所から気合いの声が飛んで来た。

その大声に心を震わせていると
お兄ちゃんが満面の笑みを浮かべて振り向いた。
 
梅宮.
俺からは以上!
最後にあなたの下の名前、なんかあるか?
あなた
っげ…なんもないけど…
梅宮.
いいから いいから!
 
座っていた壊れかけのパイプ椅子から無理やり立たされ、
マイクの前まで強い力で押された。

登馬くんに助けを求めようと見てみると、
頭を抑えてそれどころじゃなかった。
 
あなた
えー…怪我したら保健室に来てください。
でもなるべく来ないでください。
梅宮.
んーとっ、それはつまりどっちだ??
柊.
あなたの下の名前ちゃんが考えて発言している訳ねぇだろ。
そう言及してやんな。
あなた
え、火力高。
 
私はもう喋るつもりはないという意志を示すように
壊れかけのパイプ椅子に再度腰を下ろした。

私の身勝手な意思表示にお兄ちゃんは全てを察したように
片眉を下げながら柔らかく微笑んだ。
 
梅宮.
以上ー!!それじゃあ後はよろしく!
よーし終わった 終わった飯行こーぜ!あなたの下の名前ももちろん行くよな!?
あなた
私は保健室行くから行かないよ。
梅宮.
えぇ〜!?
柊.
まだ音入ってるって!!
 
焦り1割と怒り9割を含んだ声の登馬くんが
マイクの音を切るボタンを乱暴に押し込んだ。
 

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