第3話

にー!
4,830
2024/07/10 22:00 更新
暇72
おい、らん!!子ども拾ったってどういうことだよ!?
LAN
なっちゃん、シーッ!!
暇72
あ、ごめん…
 本当に大慌てで来てくれたのだろう。なつは部屋着の状態で、扉を開けてすぐに家に飛び込んできたなつにらんは声を潜めるように、指を立てる。一応ぐっすり眠っているらしい子どもを起こすのはさすがに忍びない。
暇72
それで、その子どもは?
LAN
俺の部屋。着いてきて
暇72
おう
 なつを連れて子どもを寝かせている部屋へ向かう。扉を開ければ、ベッドに横たわったままの子どもが規則的な寝息をたてていた。それを見て、らんはほっと息を吐く。だが、横のなつはそれどころではない。
暇72
え…いるま?
 子どもの顔を上から覗き込んだ瞬間の呆然したなつの表情に、らんは同意するように深くうなずいた。
LAN
やっぱりめっちゃいるまに似てるよな!
暇72
似てるっていうか、なんというか…
LAN
え?
暇72
いや、なんでもねぇ
 どこか難しそうな表情でじっと子どもを見つめるなつを不思議に思いつつ、らんはとりあえずお茶をなつに差し出した。
LAN
はい、お茶
暇72
お、ありがとう
LAN
いえいえー…でも、本当にどうしよう?病院もダメって言われたし、迷子なら警察に預けたほうがいいか?
暇72
は、警察!?
LAN
え、何その反応
暇72
あ、いや〜…
LAN
………………
 当然なことを言ったつもりだが、なつは飲んだお茶を吹き出しそうな勢いで驚いている。その反応が怪しくてジトッとした目線を送れば、どこか焦ったようにチラチラと子どもを見るなつ。これで怪しくないという方が無理である。
LAN
なつ、何を隠してんの?
暇72
はっ!?べ、別に何も
LAN
なーつー?絶対にこの子のこと知ってるだろ!?
暇72
な!?なななななにを!?
LAN
動揺しすぎなんだよ!!
暇72
はぁ!?し、して、してネーヨ?
LAN
カタコトになってますよ、なつさん
暇72
うぐっ
 らんにズバッと言われ、なつが言葉に詰まる。あとひと押しだと思い、さらに圧をかければ、なつは少し逡巡した後に言い逃れを諦めたようでゆっくりと口を開いた。
暇72
実は……
 そこからなつが語った内容に、らんは思わず目を見開いた。

 子どもの名前は入瀬いるせといい、いるまの遠い親戚だという。以前なつがいるま家に遊びに行った時に彼が預けられており、その時に知り合った。そして一番衝撃的なのが、彼は親から理不尽に暴力を受けている可能性があるらしく、時々このように逃げ出すそうだ。

 話を聞くうちにみるみると血の気が引いていくらん。こんな酷いことがあっていいのか。
LAN
そんな…酷い
暇72
だから、さ。よければらんがコイツのことを預かってくれね?
LAN
うん……ん?え?俺が!?
暇72
そう
LAN
な、なんで!?
 てっきりこのままいるまが預かるものだと思っていた。まさか自分が引き取ることになるなんて思ってもおらず、らんは思わず悲鳴のような声をあげる。しかし、なつはそれに動じない。むしろそれが当然だと言うようにうなずいている。
LAN
いや、だってこの子っているまの親戚なんだろ!?俺は赤の他人で
暇72
考えてみろよ、らん。こいつの親はいるまの家を知ってるんだ。もしいるまの家に預けてバレたら大変なことになるだろ?
LAN
た、確かに…?
暇72
というわけで
LAN
いやいやいや、待って!なつも知ってるだろ?俺はいるまが
暇72
知ってる知ってる
LAN
だったらなつでも良かったんじゃ
入瀬
俺はらんがいい
LAN
え?
 突然聞こえた第三者の、幼さによる特有の高い声。その声の主はらんのベッドですやすやと眠っていたはずの入瀬だった。いつの間に起きたのか、いるまによく似た真っ直ぐな目線をらんに向ける。
入瀬
らんがいい
LAN
え?でも……
入瀬
らんが、いい!
 そう言っているまはベッドから飛び降りると、そのままらんに向かって突進してきた。突然のことに反応できなかったらんは、数歩たたらを踏む。
暇72
ほら、本人もこう言ってるし…らん、俺からも頼む
LAN
え…う、まあ、いいけど…いるまはこのことは?
暇72
あとで俺から言っとくけ、心配すんな
LAN
あー、じゃあお願いします
暇72
おう、ついでにデートの約束でも取り付けてやろうか?
LAN
結構です!!
 からかい混じりにらんの耳元でそう言うなつに、らんは顔を赤くしながらそう叫んで逃げるように部屋から飛び出していく。そんならんの背中を見送って、なつはベッドのはしに腰掛けた。
入瀬
何言ったんだよ?
暇72
さぁ?……それより
 そう言って入瀬に、なつは向き直る。入瀬はどこか不満そうにベッドに腰をかけ直すと、なつの視線を正面から受ける。
暇72
何があった、いるま

プリ小説オーディオドラマ