Broooock視点
その新聞記事には、こんなことが書いてあった
【新統領&幹部任命!】
現統領は、次の土曜日に現在の統領と幹部を一新することを発表。白尾スタジアムで任命式を行うとのことだ。急な出来事に困惑する国民が続出している。とある情報によると、白尾兵を募集した際にとびきりずば抜けた才能を持った6人が現れたため、そのうち1人を統領に、残りの5人を幹部にしたと言われている。急な発表だったため、国民は「なんで急に一新することになったのかがわからない。」「現幹部以上の能力を持っている人がいるなんてありえないんじゃないか。」などと、不信感を持つ人が多いようだ。
期待されてない...のか....
そうだよな....
僕達は浮かれすぎていたんだ。
今までが上手くいきすぎて、後先考えずに幹部や統領になれたことに喜んでいた。
世間からはこんなふうに思われてたのか....
僕たちに、白尾兵幹部なんてできるのだろうか...
そうだ。
僕は弱かった。
○○年前
来る日も来る日も殴られ続けた。
僕は訳も分からず謝り続け、痛みに耐えた。
父親「あ''?なんでメシの用意ができてねぇんだよ?!」
ボコッドカッ
痛い痛い痛い
僕はなんで生きてるんだろう....
母親「アンタなんて生まれて来なければ良かったのよ!!」
ボコドカッバシッ
なんのために生まれきたかなんて
わかるわけない
警察「児童虐待の容疑で逮捕する」
母親「覚えてなさいよ!!Broooock!!」
父親「こんなことが許されると思ってるのか!!」
パトカーで連行されていく自分の両親を見て
僕は何も感じなかった。
自分の生きている意味がわからなくて
何回も命を絶とうとした。
みんながいなかったら
僕は何も出来なかった。
僕は、みんなほど強くない。
スマイル視点
何があったのか、Broooockが急に呻き出した。
時々、微かに「ごめんなさい」と言っているようにも聞こえる。
目も焦点が合っておらず、とても辛そうだ。
何度呼びかけても反応してくれないし....
俺だけじゃ対処できないと判断し、強制テレポートをしてみんなのいる控え室に戻った。
と、手を止めこちらに視線を向けた4人。
今度は先程とは違い、呻き声は無くなったものの体が震えており、頬からは汗が垂れている。
俺は、Broooockの背中をさすってあげた。
俺は、4人に手短に事の経緯を話した。
俺たちは、なんらかの事情があって元々孤児院にいた。それはみんな同じだ。
しかし、物心ついた時には当たり前のようにみんながいたため、なんで孤児院にいたかなんて聞いたことがなかった。
というか、言いたくなかった....と言うのが正しいのかもしれない。
俺も、なんで孤児院にいたかということはあまり口に出したくなかった。
なるほど.....
俺自身も、家族関係で色々あったため、Broooockの気持ちは理解出来る。
俺たちはきんときの言葉に賛成し、Broooockをクッションの上に寝転がせ、一旦全員椅子に座った。
しばらくの間沈黙が続く.....
みんな言いたいことがあるのだろう。
ただ、言い出せない。
自分の過去を語るのは、辛いから。
でも、勇気を出さなきゃ.....
俺は、沈黙を破るように口を開いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!