やはり梅は分かっているのだ
ジブンが悲しい顔をしているとわかっているのだろう
…ほんとに………これだから…梅は…
喉が震えそうになる
頭は冷静でも、体と心は駄目みたい
鼻の奥がツンと痛い
梅は肩に手を置いて、目線を合わせようとしてきた
…あぁ………もう…本当に……!!
梅には抵抗なんて意味が無い
だってそりゃあ最強だから
ジブンなんて足元にも及ばない
梅はふっと笑った
全部、バレた
梅に会いたくなかったのは
勝てるって………1ミリも思えなかったから
喧嘩でも何でも梅は最強
根比べも勿論最強
梅を前にした時点で勝ち目なんてなかった
梅は背を押して2人用のテーブル席に座らせ
自分はその対面に座った
少しだけ顔をあげて気づいた
怪我をしている
…あ、そうか風鈴は今日獅子頭連とやったのか
あそこのトップ、強かったもんな
梅に非なんてある訳ない
梅はいつだって完璧
そう…悪いのは全てジブン
梅の声が低くなる
これは、少し怒ってるサイン
知ってる
梅は優しいから、そうやって言うって知ってた
でもコレは梅じゃなくてジブンが嫌
憧れの、尊敬の人が正当に評価されない
自分のせいで………なんて悔しい
性別1つでくるくる変わってしまう
どこまで消したら傍にいられるのか
どこまで消しても隠してるだけに変わりは無い
いつかバレて梅を地に落としてはいけない
その日のために手は離しとく
何を言っても梅は真っ向から否定した
訳の分からないことを言い出す梅
…なにそれ
なんで梅の後輩なんかに会わないと…
梅は乾いた笑い声を響かせた
街の外の人間が梅の後輩?
その一言で
名前も顔も知らないその後輩に自分を重ねってしまった











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。