佐藤は目を丸くする。
どうやらこれは、覚えていないパターンか。
佐藤は更にパニックになっているようで、
一人頭を抱えている。
......うん。
覚えてないならまぁ、無かったことにも出来るから、良い、のか、な?
でも、どうしてか。
覚えていて欲しかった気持ちも、ジリジリと湧いてくる。
今度はちょっとイライラ。
俺はパニくる佐藤をキッと上目遣いに睨み、声を上げた。
舌を絡め取られ、不覚にもトロンとなってしまった自分。
それを覚えられていないとは......。
なんか、俺だけがバカみたいじゃないか。
不機嫌になって俯く俺に、佐藤はオロオロしながら謝り倒す。
そして......
真剣な顔になる佐藤。
不機嫌なままの俺。
俯いたまま、一瞬何のことか分からず聞き返す。
佐藤は短く答えた。
まさかの答えに、俺は佐藤を見上げた。
𝙉𝙚𝙭𝙩 .














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!