間近に佐藤の端正な顔が迫り、息を飲む。
今度こそ、俺はこの部屋から逃げられない気がしてくる。
熱い視線に耐えきれず、ぎゅっと目を瞑ると、
クスリと佐藤が笑みを漏らした。
真っ直ぐな眼差しと声音に、息が詰まる。
これは熱のせい?
それとも......。
結局、俺は大人しく佐藤の部屋で体調の回復に務めることになった。
ベッドの上で寛ぎながらも、
俺は少しずつ焦りを感じ始めていた。
今日は夕方からバイトなので、
何としてでもそれまでに復活を遂げなければ。
時間は刻一刻と過ぎていく。
しかし、熱はまだ下がらないし、咳も出る。
いやでも、多少ふらついてでも、俺は行く。
当日にシフトを代わってもらえる確率なんて、ほとんど0なのだし。
店に迷惑をかける訳にはいかない。
佐藤をどう説得するのか、だ。
𝙉𝙚𝙭𝙩 .














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!