第23話

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2025/09/08 11:42 更新








──数年前。雪の降る夜。
 








黒い影が家を焼き、家族の悲鳴が雪に溶けていった。






凍える足で外へ逃げたとき、背後から何かが迫っていた。
 





恐怖で足が動かず、ただ立ち尽くしたあの夜──
 













助けてくれた“誰か”がいた。
 






白く柔らかい風のように現れて、鬼を斬り伏せた剣士が。
 






顔も、名前も覚えていない。ただ、ひとつだけ。
 











 ──その剣が、とても綺麗だったことだけ。
 









それが、私が剣を握った理由だった。
 





復讐とかじゃない。








ただ、あの剣のように、誰かを守れる存在になりたかった。
 







だけど、何故かあのときの記憶は曖昧なまま。
 








霞に包まれたように、肝心なところが、思い出せない。
 
 


















そんな私が鬼殺隊に入ったばかりの頃。
 







不安で、何もかもが怖くて。
 









「私なんかが剣を握っても、結局何も出来ないんじゃないか」って。










自分自身に問い続けていたとき──



















産屋敷耀哉
あなた──君が歩む道は、決して誰かに決められるものではないよ。





産屋敷耀哉
だから、自ら選んだその一歩は──必ず、君を強くする。










 彼の方が私の一番欲しい言葉をくれた。
 






心が凍りそうだったあの日。
 






それでも前に進もうとした私の、“最初の一歩”を受けとめてくれた人。
 





ずっと忘れていた。
     でも今、思い出した。
 
 





















__あの日の剣に、似てるから。
 


知らないといけないって、思った。
 






私の人生を変えたものだから。
 









あなた
(知らなきゃいけないの。)









……怖いけど、進まなきゃいけない。
















 急に立ち上がったあなたは、静かに歩き出す。
 





向かう先は、お館様の待つ、産屋敷邸。
 





荘厳な門の先に、いつもと変わらぬ静けさがあった。
 








部屋に通され、膝をつくあなたの姿は、以前よりもほんの少しだけ強く見える。










 目を伏せたまま、ゆっくりと言葉を紡ぐ。























あなた
……改めてお願いに参りました。



























あなた
私に______






























あなた
霞柱・時透無一郎様の継子を務めさせていただけませんか___。






























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