第二十一話「からかわれる朝」
朝の食卓。
パンとスクランブルエッグの香りが広がる中、潤と自由が顔を見合わせてニヤニヤしていた。
潤:「なぁなぁ、孝宏兄ちゃん。」
孝宏:「ん?なんだよ。」
自由:「昨日の夜〜〜、『一人で風呂入るのつまんねぇ』って言ったんだって?」
——ガタン。
フォークを持つ手を止めた孝宏の頬が、一瞬で赤く染まった。
孝宏:「おまっ……!お前ら聞いてたな!?」
潤:「浩史兄ちゃんから聞いた!」
浩史:「俺はちょっと言っただけだ!」
潤は腹を抱えて大笑い。
自由も負けじと声を上げた。
自由:「可愛い〜!長男なのに一番甘えん坊だ〜!」
潤:「俺らの兄ちゃん、最高だわ!」
孝宏:「やめろっつってんだろ!!」
両手で頭を抱えてうつむく孝宏。
母はそんな光景を見ながら、コーヒーをすする口元に笑みを浮かべていた。
母:「はいはい。喧嘩する前に、早く学校行きなさい。」
***
学校に着くと、その噂はすでにクラスに広まっていた。
教室に入った瞬間、友達が口々に声をあげる。
クラスメイトA:「おーい!『一人風呂つまんない長男』来たぞー!」
クラスメイトB:「浩史に駄々こねるとか、マジ子どもじゃん!」
一斉に笑い声が起こり、孝宏は耳まで真っ赤になった。
孝宏:「……誰だ広めたのは!!」
浩史:「……(目を逸らす)」
その仕草を見逃さなかった孝宏が、がばっと双子の肩を掴む。
孝宏:「お前かぁ!!!」
浩史:「わ、悪かった!ちょっと口滑らせただけだ!!」
クラス中に響く兄弟喧嘩。
けれどその様子は、からかう声も笑いに変えるほど微笑ましかった。
休み時間になると、潤や自由まで廊下に現れ、さらに追い打ちをかける。
潤:「兄ちゃん、今度は『風呂までセットの双子』って呼ばれてるらしいぞ〜!」
自由:「僕の学校でも噂になってた!」
孝宏:「やめろぉぉぉぉ!!!」
校舎中に孝宏の叫び声が響き渡り、その日の学校は笑いに包まれていた。
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✨第二十一話 完✨












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。