第20話

第二十話「拗ね顔の兄」
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2025/09/30 05:07 更新
第二十話「拗ね顔の兄」

風呂場のドアが開き、もわりと湯気が廊下に流れ込んだ。
タオルで頭をわしゃわしゃ拭きながら、浩史がリビングへ戻ってくる。

浩史:「……ふぅ。やっぱ風呂は一人に限るな。」

髪がまだしっとり濡れたままの浩史が入ってくると、ソファに寝そべる孝宏が視界に飛び込んだ。
仰向けに両手両足を投げ出し、完全に「ふて寝モード」。

浩史は思わず口元をゆるませた。

浩史:「お前、まだ拗ねてんのか。」

返事はない。
ただ、ソファの背もたれに顔を半分埋め、ぷくっと頬を膨らませたまま微動だにしない。

浩史はタオルで頭を拭きながら、わざとゆっくり孝宏に近づいた。

浩史:「なぁ。子どもみたいに拗ねてんの、母さんと自由にバレてたぞ。」

その言葉に、孝宏の肩がぴくりと動く。
しかし「聞こえてません」と言わんばかりに、視線を天井へ固定している。

浩史:「……ははっ。図星か。」

テーブルにタオルを放り、孝宏の横に腰を下ろす。
そして片肘でソファの背を支えながら、上からじっと覗き込んだ。

浩史:「そんなに一緒に風呂入りたかったのか?」
孝宏:「……別に。」
浩史:「強がりすんな。」

口元を意地悪く上げて笑う浩史。
孝宏はなおさら顔を背け、低い声で呟いた。

孝宏:「……一人で入るのつまんねぇじゃん。」

その一言に、浩史はふっと目を丸くし、次の瞬間、堪えきれず吹き出した。

浩史:「……ぷっ、ははっ!何だそれ!」
孝宏:「笑うなよ!」

孝宏は思わず起き上がり、兄に軽く拳を振り下ろす。
浩史は肩で笑いながらひょいと避け、反撃のように孝宏の頭をわしわしと乱暴に撫でた。

浩史:「はいはい。じゃあ次は一緒に入ってやるから拗ねんな。」
孝宏:「……絶対な。」

にらみながらも、その声にはどこか嬉しさがにじんでいた。

台所からそのやりとりを見ていた母と自由は、顔を見合わせて小さく笑った。

母:「ほんと、あの双子はいつまでたっても子どもね。」
自由:「でも……なんか、安心する。」

母は頷き、味噌汁をお椀に注ぎながら、にこにこと目を細めた。

リビングの真ん中では、まだじゃれ合うように笑い声を交わす双子。
夜の静かな家に、その声はいつまでも響き続けた。


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✨第二十話 完✨️

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