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第5話

始めての人間の『友達』
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2026/02/07 03:00 更新
ブラックの部屋に住み始めて数日がたったある日ーーー
ブラック
さあ!
今日も撮影に行きますよ〜!
???
今日はどんな動画撮るんですか?
私は、ブラックにそう聞いた。
ブラック
今日は、『ゆる回』です!
カメラちゃん
じ〜!
???
ゆ、ゆる回⋯?
よくわからない言葉だったけど、
ブラックが言うには危険が少ない日らしい。
ブラック
さあ、行きますよ!
デビルワープ!!
???
え?
どこ⋯
私が、問いかける間もなくどこかにワープした。
到着した先は知らない部屋だった。
そこには一人の男の子がいた。
小学生⋯多分。
背は低く、部屋にはランドセルが置いてあった。
ブラック
こんにちは〜!
ブラックは慣れたように、その男の子に挨拶をした。
さとし
あ!ブラック!と⋯
男の子は、わたしを見て固まった。

三秒。

四秒。
さとし
⋯⋯⋯
次の瞬間。
さとし
うわあああああああ!!!!
叫んだ。
家全体に響き渡るぐらい、全力で。
???
あ、あのぅ⋯
男の子は、私の声をかき消すくらいの声量で、
ブラックにしがみつき、問いかけ続けていた。
さとし
羽ぇ!?
なんか羽生えてる!?
え!?
天使!?
幽霊!?
ブラック!
なんかいる!
なんかいるぅぅぅ!!
私、何もしていない。

翼も畳んでいる。

それでもーーー
ブラック
落ち着いてください、さとしくん
ブラックが、慣れた声で言う。
ブラック
この子、別に襲ったりしませんから
さとし
しないの!?
ブラック
しません
さとし
ほんとに!?
ブラック
たぶん
さとし
たぶん!?
ブラック
カカカ!
冗談ですよ
男の子は、私から三歩分くらい距離を取って、
震えながら指を指した。
さとし
ブラック、これ動画?
ドッキリ?
ブラック
いいえ
カメラちゃん
じぃ
さとし
じゃあ、なに!?
賑やかだった。
???
⋯⋯あの
私は、勇気を出して声を出した。
???
私、なにもしない
男の子は、
ビクッと肩を跳ねさせる。
さとし
しゃ、しゃべった!?
ブラックが即答する。
ブラック
人ですから
さとし
えっ、人!?
さとし
えっ、違うの!?
さとし
どっち!?
混乱している。
???
⋯人では無いかな
私が言うと、
男の子はさらに混乱した。
しばらくして、
ようやく落ち着いた男の子は
床に座り込んだ。
さとし
ごめんね
騒いじゃって
???
ううん
私の方こそ、びっくりさせてごめんなさい
さとし
あ!
自己紹介がまだだったね
俺はさとし!
さとし
君は?
私は答えられなかった。

ブラックが代わりに言う。
ブラック
まだないんです
さとし
え?
さとしくんは
少し考えてから言った。
さとし
じゃあ、名前がないなら俺達がつけてあげるのはどうかな?
ブラック
さとしくんにしては、いい考えですね!
さとし
名前⋯名前⋯





・ 
さとし
思いつかないぃぃぃ!!
ブラック
カカカッ!
さとしくんが提案したのに候補の一つも無いんですかぁ〜?
カメラちゃん
じじ〜?
さとし
うるさいな〜
ブラックは少し間を置いて言った。
ブラック
では、『ノヴァ』
なんてのはいかがです?
???
ノ⋯ヴァ⋯
初めて名前をつけてもらって
少し戸惑っている私を見てブラックは言った。
ブラック
はい
貴方に似合う名前だと思うのですが⋯
似合う⋯
その言葉に、胸の奥がぽかぽかと温かくなった。
???
ありがとう
こんな私に名前をつけてくれて
ブラック
いえいえ
気に入っていただけてよかったです!
ノヴァ
さとしくんもありがとう
一生懸命考えてくれて
さとし
うん!
ブラック
では、改めましてよろしくお願いしますね!
ノヴァさん!
さとし
よろしくね!
ノヴァお姉ちゃん!
その日
私は初めて『普通の人間』と話した。


怖がられ、
騒がれて、



でもーーーーー


逃げず、
私を一人の『友達』として見てくれた。


それは
とても、不思議なことだった。
主
こんにちは!
主です!
主
今回の話はいかがでしたか?
ぜひ、コメントしていただけたら嬉しいです!
主
では、また次の話で会いましょう

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