ブラックの部屋に住み始めて数日がたったある日ーーー
私は、ブラックにそう聞いた。
よくわからない言葉だったけど、
ブラックが言うには危険が少ない日らしい。
私が、問いかける間もなくどこかにワープした。
到着した先は知らない部屋だった。
そこには一人の男の子がいた。
小学生⋯多分。
背は低く、部屋にはランドセルが置いてあった。
ブラックは慣れたように、その男の子に挨拶をした。
男の子は、わたしを見て固まった。
三秒。
四秒。
次の瞬間。
叫んだ。
家全体に響き渡るぐらい、全力で。
男の子は、私の声をかき消すくらいの声量で、
ブラックにしがみつき、問いかけ続けていた。
私、何もしていない。
翼も畳んでいる。
それでもーーー
ブラックが、慣れた声で言う。
男の子は、私から三歩分くらい距離を取って、
震えながら指を指した。
賑やかだった。
私は、勇気を出して声を出した。
男の子は、
ビクッと肩を跳ねさせる。
ブラックが即答する。
混乱している。
私が言うと、
男の子はさらに混乱した。
しばらくして、
ようやく落ち着いた男の子は
床に座り込んだ。
私は答えられなかった。
ブラックが代わりに言う。
さとしくんは
少し考えてから言った。
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ブラックは少し間を置いて言った。
初めて名前をつけてもらって
少し戸惑っている私を見てブラックは言った。
似合う⋯
その言葉に、胸の奥がぽかぽかと温かくなった。
その日
私は初めて『普通の人間』と話した。
怖がられ、
騒がれて、
でもーーーーー
逃げず、
私を一人の『友達』として見てくれた。
それは
とても、不思議なことだった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。