あんな光景を見てから、私は少し春千代を避けるようになった
春千代と目まで合わせられない
一緒に居たいのは間違いないけど...
この人は始めから無視している
だってこんなチャラい人怖いもん!
だけど、春千代は無視したくなかったな...
だって好きな人だもん歳は離れてるけど...
そんな事を考えながら洗面所に行くと、九井さんが居た
私は九井さんと並んで歯磨きをした
九井さんが歯ブラシを置くと私の方を見た
実は図星だなんてな...
九井さんが歯ブラシをしまってササッと出ていった
なんか変わった人が多いから九井さんは無駄にしっかりしているように見えた
そう呟くと私は部屋に戻った
そしてテレビを付けると一気に背中が凍りついた
私はドクドクと早くなる鼓動を抑えた
大粒の涙が頬をつたると、その場に座り込んだ
たまたま通りかかった春千代が私の傍にきた
春千代があわあわしながら私を慰めてくれた
私は泣きながら春千代に抱きついた
もう涙が止まらない...なんていい人に拾われたんだと、
まるで私たち漫画の主人公とヒロインみたいだ
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!