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第21話

Episode.20
45
2025/10/12 06:08 更新
◆◇◆◇◆◇
ジビア
あまりイオを虐めてやんなよ
アネット
………俺様っ。いじめてなんてないですよ?
アネットはこちらに背を向け、機械をいじりながらそう無邪気に言う。電気のついてない真っ暗な部屋で、見たことない形状の卓上ランプの明かりを頼りに、手際よく機械を分解する天才にジビアは頭を悩ましていた。
ジビア
イオが綱渡りなのは知ってるけどさ。
それ言ったらあたしらだってそうだろ?。
いっつも危なっかしくて、
モニカあたりに助けてもらってばっかじゃん
サラ
自分も、そう思います。
それに……最近のアネット先輩、
何か焦ってないですか?
アネット
………サラの姉貴
声のする方へ振り向くと、そう恐る恐る心配するサラの姿があった。流石アネットとエルナの保護者。アネットの様子に気づき、何があったのかを聞きに来たのだろう。
サラ
『可惜夜』の皆さんが来てから、
なんだか不安がってるように思います
ジビア
(不安、がってる?)
予想外のことをサラが指摘し、ジビアは驚いた。アネットは確かに『可惜夜』のメンバーにちょっかいをかけたり、脅したりすることはあるが、それは『灯』メンバーにも同じ。新しい玩具を試しているだけとしか思わなかった。
アネット
サラの姉貴は、
俺様がそう見えるんですか?
サラ
………少なくとも。余裕があるようには
見えないっすよ
アネット
………………
ジビア
(………やばい。アネットを刺激させたか?)
アネットはこちらを見定めるようにじっと見つめ、そして急にぱっと表情を明るく変えて、サラに抱きついた。
アネット
だいっせいかいです!。
流石、サラの姉貴ですねっ
ジビア
(え………)
サラ
アネット先輩の調子が悪そうだったら、
すぐにわかるっすよ
アネット
姉貴はエスパーですねっ
ジビア
……………
2人の会話にジビアはついていけないでいた。独特の空気、独特の距離感。トラブルメーカーが自由気ままに他者を戸惑わせているかと思えば、非力であまり目立つ場面が少ない少女になついている。
トラブルメーカーは『灯』には他にも売るほどいるが、アネットよりは予測不能ではない。
サラ
ジビア先輩。
ここは自分に任せてもらえませんか?
ジビア
お、おう。わかった…………。
じゃ、よろしくな
不安は多々あるが、サラに任せておけばなんとかなるという謎の安心感のほうが大きい。彼女の言う通り、アネットのことはサラに任せるとしよう。
サラに礼を言い、アネットの部屋から離れる。すると、キッチンの方から香ばしい匂いが漂ってきた。ごくりと唾を飲む。訓練の疲労が募りいい具合に空腹な今、ミートソースとチーズがこんがりと焼けた食欲をそそる匂いを一度嗅いでしまったら、キッチンに向かわずにはいられない。
イオ
(てか、サラとモニカだよな料理当番。
 もしかして、あの数分の間に
 買い出しから帰ってきて作って
 アネットのところへ向かったのか?……)
イオ
(いや……流石にそんな早業できるわけ…)
不思議に思いながらキッチンへ着くと、中から騒がしい声と共に何かがガシャンっと落ちる音がした。
イオ
お、おい!。何かあったのか…………って
イオ
…………マジで何してんの?
その光景は。一言で言うと地獄絵図だった。
リリィ
ぎゃあああ。
私の可憐な髪に小麦粉があああ
頭から小麦粉の入ったボウルを被りながら、床でそう叫び転がるリリィ。今朝掃除したばかりのはずの床は粉であふれ、ボウルは凹み、本人はのたうち回っている。
ルナ
やったー!。また勝っちゃった☆
レナ
あぁ………。また負けちゃった
そしてリリィが喚めいている横で、2人楽しくギャンブルをしているルナとレナ。
ティア
相手の手がわたしの肩に触れ、
ぎこちない手付きでわたしを押し倒し……。
気づいた時にはベッドの上で___
グレーテ
な、なるほど………。
そんな迫り方もあるんですね
エルナ
だ、騙されちゃダメなの!。
ぜったいせんせいには効果ないのっ
包丁で野菜を手際よく切りつつ、グレーテによからぬことを吹き込むティアと、それに感心したように頷くグレーテ。それを必死に止めるエルナ。
アイ
うる………さい……
周りの騒音に苛つきながら、床一面に新聞を広げ何やらメモを取っているアイ。
イオ
た……………たす、け………て
そして。今にも消えそうな声でそう助けを求める、何故か椅子にぐるぐる巻きにくくりつけられたイオ。
ジビア
…………頼むから
ジビア
もう少し………情報量抑えてくれねぇ?

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