ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ
……っうるさい
ピッ
重い体をゆっくりとおこした
時計を見ると針は6時を指していた
もうこの疲れには慣れているので、すぐにベッドから体を離した
また、嫌いなものが始まったのだ
_______________________
ガララララ
今日は少しいつもと違っていた
いつもなら机を倒されているだけだが、今日はそもそも机が無かった
何だよ、しょーもない
そんな事をして何になる
まぁこれで面白いんだろうけど
一度教室を見回しても机は見つからなかった
_あいつらが隠しそうなところ
まぁ多分空き教室だ
この教室の隣には空き教室がある
俺たちの学年は少し人数が少なくて教室が余ったらしい
ガララララ
_あぁ、やっぱり
端の方にポツンと俺の机があった
その机に触れた
_お前には迷惑かけたな、こんなに汚くされて………ごめんな
少しこの机が可哀想に思った
あんな事になるんだったら使われない方がいいんだろうな
そしてこの机を自分の教室に運んだ
運んでいる最中見たことのない人が廊下を歩いていた
ここの生徒かと思ったが、この学校の制服ではなかった
まぁ俺には関係無いと思うが
_________________________
昼休みになった
朝と比べても一層騒がしくなる時間だ
俺はあまり好きではない
俺は朝のうちに買っておいた購買のパンと持ってきた飲み物をもっていつもの場所へと向かった
いつもの場所というのは屋上だ
屋上にはいつも人がいない、まぁ風があったりするからだろう
風は少しある壁で防げるし、不便なことはない
雨や風が強いときは屋上に出る扉の前の階段で食べる
俺はため息をつきながら長い階段をのぼっていった
________________________
ふと、夢を見ることがある
顔は分からないが明るい笑顔で俺の手を握り走っていく誰か
泣いている俺のそばに座って少し悲しいような笑顔を浮かべ“大丈夫”と言ってくれた誰か
その誰かがいろんな俺を支えてくれていた
でも見たことがあるような気がして、ずーっと心残りだった
今日、やっと気づいた
大切な人だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。