第21話

最低、最悪。
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2020/11/02 14:16 更新
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はーい、じゃあお疲れ!解散!!
神坂 白織
神坂 白織
皆さん、お疲れさまでした。
馬場
馬場
売り上げで食べに行こうぜ!?
中嶋 紫信
中嶋 紫信
ばーか、話聞いてろ、
明日だって言ってたろ。
馬場
馬場
えええ、このノリで行きたい~!
何だかんだすぐで終わった文化祭。


俺にとっては、一生忘れない文化祭になった訳だが。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はいはい、帰りま………!
神坂 白織
神坂 白織
どうかしたの?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂、……あぁぁぁ、どうしよ。
隣に居た神坂が話し掛けてくれる。


俺が動揺していた理由は、
神坂 白織
神坂 白織
……幼なじみさん?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
…うん。
アイツからの連絡だ。


今すぐ帰って夏音の話を聞いてやりたくても、


俺にはもう神坂が居る。


女子というのは繊細で複雑だから、


こういう時にどう説明するのが正解か分からない。
神坂 白織
神坂 白織
私には、昔からずっと仲が良い人なんて居ないから。
神坂 白織
神坂 白織
その、どういう気持ちなのかは分からない、けどね。
神坂 白織
神坂 白織
友達は、大事にしなきゃいけないのは、よく分かったから。
神坂 白織
神坂 白織
行ってきて、私には紫信ちゃんが居るから、大丈夫だよ。
中嶋 紫信
中嶋 紫信
ん?あー、いいよ、恋バナしながら帰るから。男子はいい、帰れ帰れ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
おっと心臓に突き刺さったぞその言葉。
神坂 白織
神坂 白織
こ、恋…バナって、え!?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
……ごめん任せた。
神坂、また明日ね!
神坂 白織
神坂 白織
う、うん!
荷物を持って走る。送られてきたことは、


『いつもの公園で話がしたい』って、一言。


珍しくアイツは、絵文字とか顔文字を使ってなかった。


ふざけてない雰囲気なのは分かる。


つまり結果が良くなかったのだろう。


それでも、昔から一緒に居る仲としては心配で。


俺にしか話せないことがある、


俺が聞いてあげられることがある。


自意識過剰かもしれないけれど、


その自信は何となく昔からあるつもりだ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
…夏音!
湖谷 夏音
湖谷 夏音
お、汰一~。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
────え?
湖谷 夏音
湖谷 夏音
え?何、どうしたの?(笑)
伊藤 汰一
伊藤 汰一
てっきり、俺は、え?早とちり?
思いもしない夏音の様子と、ヘラヘラとした顔に、


動揺せざるを得ない。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
落ち着いて落ち着いて?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
お前、結果は?
湖谷 夏音
湖谷 夏音
……あー…そのことなんだけど。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
まだ、これからなんだよね。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
は?尚更じゃん、良いの?
今から学校戻る?夜なの?
湖谷 夏音
湖谷 夏音
お、落ち着いてってば!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
……落ち着かないよ。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
…あー!もう、分かった!!
急に、ふんばる様な顔をして、大きな声を出す。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
ごめん、告白練習とか、全部嘘。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
名前を出さなかったのも、相手の事を詳しく言わなかったのも、全部!
湖谷 夏音
湖谷 夏音
私は、昔から、
汰一のことが好きなんだ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
………最悪だ……。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
えっ?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
夏音、俺、俺な。
付き合ってる人が出来たんだ。
──────今日二度目の驚き。


頭が殴られたように頭痛がして、


言葉では言い表せられないこの辛さ。


夏音の顔は、まるで目の前で誰かが倒れた瞬間の様な、


分かっていない顔をしていた。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
……は…?…何…それ、意味分かんない…どういうこと?…じゃあ…前から、
上擦って、辛そうで、今にも泣き出しそうな声。


聞いているだけでこちらが辛い。


なんだよ、じゃあ、俺は三角関係みたいなもんで、


二人から好かれていたのに、


俺は、何も、気付かなくて、気付けなかった。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
ごめん、気付けなくて、不甲斐ないし、ほんとにダサい。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
最低最悪だね、俺。

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