第19話

王子様と魔法使い。
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2020/10/30 12:04 更新
先生
先生
よーし、前半の奴ら、キリの良いところで後半組に変われ~!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はぁ。しんど。
馬場
馬場
マジ疲れた…主に表情筋…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
お前は常にヘラヘラしてるから大丈夫だろ。他校の女子ガン見してた癖に。
馬場
馬場
だって!!他校の女子ってなんか可愛く見えるじゃん!!
中嶋 紫信
中嶋 紫信
ほら馬鹿の2乗!!早くどっか行け!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
頼むからこいつと同じくくりだけは止めてください。
確かに営業中のクラスで騒ぎ立てるのも迷惑だ。


なら神坂を待とうと廊下に出ようとしたところ。
神坂 白織
神坂 白織
いっ伊藤くん。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
は、い。ここです。
どうかされましたか。
マントの裾をぎゅっと掴まれる。


危ない、〝尊い〟と声に出すところであった。
神坂 白織
神坂 白織
また初めみたいに敬語なのは何故…?
中嶋 紫信
中嶋 紫信
照れてんの!白織が可愛いのよ!
神坂 白織
神坂 白織
!?…!?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はーいはいはい行きますよ神坂。
思わず俺と中嶋を二度見する神坂。


そして照れ隠しをするため、顔を見ず歩き出す。
神坂 白織
神坂 白織
うっ、うん。
といいつつも、出来るだけ間を空けないように。


神坂は俺よりも小さいし、はぐれるかもしれない。


それだけは避けたい、まぁ携帯持ってるけど。


それから、お昼を食べるための屋台や、


カフェなど、出来るだけ静かな所を選んだ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂、どこか行きたいとこある?
神坂 白織
神坂 白織
えっ、な、無いよ?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
本当に?
神坂 白織
神坂 白織
ほ、ほんと。むしろ退屈させちゃうかと思ったのに…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
気持ち悪くない?
神坂 白織
神坂 白織
……え?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
人混み、
酔わないかって言ってたでしょ?
何よりも楽しんで貰う必要があるし、


一番気にしていたことだ。
神坂 白織
神坂 白織
……あっ、朝の…!?聞いてたの!?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
たまたまですよ。
神坂 白織
神坂 白織
大丈夫、むしろ凄く…楽しい。
神坂 白織
神坂 白織
ありがとう、伊藤くん。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
…良いんだよ、そういうのはエスコートするのが男子のお務めですから。
天使過ぎる笑顔を頂いたので、もう十分。


誘った時点で、エスコートなんて当然だ。
神坂 白織
神坂 白織
……お、王子様だ…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
か、神坂!?
キャラが、迷走してるよ!?
神坂 白織
神坂 白織
キャ、キャラ??実は、私昔から童話とか、お話が好きだったから…その。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
俺はそんな大層なものじゃないって。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
精々モブ生徒Aぐらいよ(笑)
神坂 白織
神坂 白織
そんなことない!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
…ぉ、おぉ、そう?
たまに見る神坂の気迫は凄いものだ。


思わず一歩引き下がる程。
神坂 白織
神坂 白織
そうなの、私が…その、好きと言ったのは、そういうところで…。
神坂 白織
神坂 白織
いつも気遣いしてくれるし、こんな、その場凌ぎのお願いも聞いてくれて…
伊藤 汰一
伊藤 汰一
ん??その場凌ぎって??
もしかして人に好かれる方法??
神坂 白織
神坂 白織
あっ。
口が滑ったのか、口を塞ぐ神坂。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
……あははは(笑)そうなの!?
まぁそっか、あー…そっか。
神坂 白織
神坂 白織
まさか、親友と呼べる子が出来て、
クラスの人と仲良くなれるなんて…
神坂 白織
神坂 白織
人生で、これからそんなことが出来るなんて、思っても見なかったの。
神坂 白織
神坂 白織
だから、誰が、どう言おうと、
伊藤くんは私の『王子様』だよ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
…ええぇ…泣きそう。
神坂 白織
神坂 白織
え、え!?ご、ごめん…
伊藤 汰一
伊藤 汰一
違う違う、あー…何て言ったら良いんだろうね。うん、そうだな…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
うん、あれだ。ありがとう、神坂。
俺が君にとっての王子様なら、


俺の真っ白でペラッペラな人生に、


色を塗って、強くしてくれた神坂は、


俺にとって神坂は『魔法使い』か何かだろう。
神坂 白織
神坂 白織
そんな、お礼を言われることは…
伊藤 汰一
伊藤 汰一
だって、そんな中俺なんかを好きだと思って、告白してくれたんでしょ?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
俺はちょっと手を差し伸べただけ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
俺が今から言うことも、神坂が言ってくれなきゃ言えなかったことなんだ。
神坂 白織
神坂 白織
今から言うこと…?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
うん。
深く息を吸う。


これは夏音のより酷いかもしれない。


それでも、だ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂、俺も神坂のことが好きだ。

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