大きな幸せを逃しながらとぼとぼと駅を目指す。
気がつけば昨日を思い出し、目線は下を向いている。
いい試合だったと、私は思う。それぞれが士気を高めあい、全てを出し切った。それになにより、コート上の、彼らの勝利への貪欲さ。
私にはなかったものだ。いや、そう言っては語弊がある。「チーム」になかったもの、だろうか。
ぐるぐる考えだしてしまえば、止まらない。なかなかに浅はかな思考なのだろう。延々と考え続けることは疲れるのだが、それはやはり、人間ゆえの所業である。
ふと気がつけば、いつのまにか学校についていたようで、樹莉が挨拶をしてくれた。
昨日の試合惜しかったよねー、と、なんでもないように話を繋げてくれる。私も、どのプレーがよかっただとか、次の反省点だとか、なんともマネージャーらしい会話を繰り広げながら向かうのは、最近、やっと通い慣れてきた体育館だ。
ひょこ、という表現が似合う樹莉の動きに、河原先輩は少し驚いたようで目を丸くした。うん、わたしも急に後ろに回られたらびっくりするよ。
十中八九、来ていないだろう。だが、やはり、少しは期待してしまうものだ。だから、今日は朝練に顔を出している。
たぶん、てゆーかほぼ確信だけど、という言葉は、やけに身体を突き刺してきて。
ああ、やっぱりそうなんだなと、身をもって実感する。
────三年生は、これで引退。
「 それでもやっぱり、一緒にやりたいなあ。 」
その言葉に、私はなんて返事をしたのだろうか。河原先輩が朝練に戻る背中を見て、ただひたすらに、なにかを考えて、虚空を見つめて、ただ三年生の引退の事実をひしひしと感じていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。