おらふくんは赤と紫でラッピングがされた箱を俺に渡して、
走って家を出ていった。
おらふくんのことは心配になるが、追いかける気力もなく、
箱を開けてみることにした。
ガサガサッ...
入っていたのは、昨日の喧嘩の元凶となった服だった。
...紫色の。
服と一緒に小さな手紙も入っていた。
封筒を開けて中の手紙を取り出して開ける。
紙のサイズとは裏腹に、文字数はすごく多かった。
綺麗な字で、最初から最後まで丁寧に書かれている。
ぼんさんへ
昨日はごめんなさい。
僕、譲るの苦手で、傷つけたくなくても傷つけちゃうことがよくあって...、
ぼんさんのことも傷つけてしまったと思うと...申し訳ないです...、
僕はぼんさんと喧嘩したままでいたくないし、...今まで通り仲良くしたい...から、
仲直り...してくれませんか?
僕は____
____洋服、色違いで種類だけ合わせてもおそろいかなって、
どっちかが譲る必要なんてなかったですね、笑
これは____
____手紙読んだら、連絡ください、
おらふくんより
俺はすぐ連絡した。
心配していること、お礼、そして謝りたいこと。
ガチャ
連絡をして、1分も経たないうちに家のドアが開いた。
おらふくんは俺の名前を呼んで優しく微笑む。
上着を脱ぐと、俺のプレゼントに入っていた服の色違いを着ていた。
俺はおらふくんに謝った。
土下座もした、...それは嘘だけど、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!