それでも、私は君に死んで欲しくない。
まだ動けるんだ。伊黒さん。
まあ何にせよ人が多くて困ることは無い。
奴を捕えなければ。
いける。いや、やるんだ。
無一郎が私の意図に気づき、刀をぶつけ合う。
すると、刀が再び赫く染まった。
無一郎達が鬼舞辻の攻撃を受けてくれている間に、
炭治郎くんの腕を掴む。
炭治郎くんは私の言葉を聞いて、唖然としていたが
すぐに持ち直すと、すでにぼろぼろの顔を歪めて笑った。
この場において、最早階級は関係ない。
鬼舞辻を止められるのは炭治郎くんだ。
日の呼吸を使える炭治郎くんは守らなければ。
飛んでくる攻撃を、炭治郎くんに当たらないように受け流す。
慎重に受け流せ。
炭治郎くんの攻撃を途切れさせたら駄目だ。
「守る」。
そうは言ったが、仮にも鬼の始祖である鬼舞辻の攻撃を遠くからとはいえ防ぎ切るのは難しい。
故に、少しずつ戦況が押されている。
奴が、私と炭治郎くんにそれぞれ攻撃を仕掛けてくる。
どちらを優先するか。
そんなの決まっている。
防ぎきれなかった攻撃がこちらに向かってくる。
元より覚悟の上だ。
攻撃が、来ない。
突然の声がした方向を向くと、私に向かってきていた腕を甘露寺さんが掴んでいる。
遠くからでも、そんな叫び声が聞こえてくる。
そして、その叫び声とともに、奴の腕が引きちぎられた。
彼女の腕も、ちぎれている。
よく考えれば当たり前だ。
どんなに速くても、どんなに力が強くても。
所詮私たちは人間。
奴の腕を引きちぎって無傷なはずがない。
畳み掛けようと、炭治郎くんと私も鬼舞辻の方にさらに近づき、攻撃する。
奴も、薬の効果か、少しずつ動きが鈍くなっていく
突如、奴の体に縦に亀裂が入り、裂けた。
それが炭治郎くんに向かう。
あまりの衝撃に、私も無一郎も、動きが止まる。
炭治郎くんと鬼舞辻との僅かな間に伊黒さんが入り込む。
その体が、奴の攻撃をもろに食らう。
そんな声とともに、奴が斬られる。
駄目だ。もう伊黒さんは動けない。
私たちで止めないと。
でも、運のいいことにもう夜明けだ。
これだけの犠牲。絶対に無駄にしない。
絶対に今日、ここでお前を殺す。
鬼舞辻無惨────


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。