北斗Side
髙地の話はそこでぽつんと途切れた。
北「………………」
京本さんの語られた過去………
それは衝撃的すぎて俺は言葉を失ってしまった。
北(京本さんに……そんな過去が………)
俺たちの間に流れる時間は、まるで粘土のように重く、引き伸ばされていった。
北、ジェ、髙「「「…………………」」」
誰も喋らない代わりに、食器の擦れる音やお客の話し声がやけに耳についた。
その沈黙を破ったのは、髙地だった――。
髙「……大我が襲われた日からずっと音信不通になっていて、心配になった俺たちは大我の家を訪れた。大我は、俺たちでさえ怖がり近寄ることさえ出来なかった。大我に植え込まれた恐怖心は俺たちを拒絶したんだ」
ジェ「そうそう……。あの時の大我は今にもこの世から居なくなりそうだったもんな……」
髙「そうだな……、あんな大我初めてみたよ。それだけ心理的に受けたトラウマは大我を苦しめ続けた。精神科にも通い、安心できる環境を整えることで、次第に俺たちも怖がる事もなくなったんだ」
ジェ「俺たちに心を許した時は嬉しかったね?こーち!」
髙「ああ。それでも大我が話が出来るのは俺たちだけだったからな。出版社と編集担当を代えてもらって、少しずつ本当に少しずつ仕事ができるまで回復していったんだ」
ジェ「今も俺たち以外とは話すのが怖いみたいだけど、その大我が北斗には気を許してるって聞いてビックリだよ!」
髙「これもいい傾向かもな」
ジェ「ねぇねぇこーち。これなら大我のこと任せられるじゃない?」
髙「だな」
北(………?)
髙「北斗、大我のこと好きなんだろ?」
思わぬ言葉に、俺は「え"ぇぇ」と慌てふためいた声を上げた。
まさかここで、その「好きなんだろ」なんて言葉が出てくるなんて思ってもみなかった。
髙「えっ?違うの?」
北「そ、それは………」
髙「もしかして、俺と大我が付き合ってるって思ってるとか?」
北「ち、違うの?!」
思っていた違う言葉が返ってきて、俺は思わず体を乗り出していた。
俺の反応に髙地が「はは、まさか。そんなわけないでしょ」と首を振る。
ジェ「そうだよ〜北斗。こーちは俺と付き合ってんの♡ねっ?こーち♡」
ジェシーが髙地の肩を抱き寄せれば、髙地は照れくさそうに微笑んでいる。
髙「まぁ、そうゆうことだから///」
ジェシーと髙地の幸せそうな姿をみてれば、二人が言っていることは本当なんだろうな……。
髙地と京本さんは付き合っているんじゃないかと、思っていた部分もあったから二人の口から「付き合っている」って聞かされて安堵した。
それと同時に思わず驚きの声を上げてしまった。
北「そっか……違うのか……なんか安心したって、え"ぇぇぇ!?」
ジェ「AHAHAHA!反応おっそっ!」
「うっせぇよ!ジェシー!」と、軽く腕で小突き合いが始まる。
あの人と別れてから恋愛なんてしてこなかったから、仲睦まじくじゃれ合う二人を見ていると、羨望の眼差しを向けてしまう。
羨ましい……。
髙「俺にはジェシーがいるから、大我のことよろしく頼むな」
ジェ「そう!大我のこと幸せにしてやってよ」
北「俺が京本さんを……幸せにする……」
たとえこの先どんな苦難があろうとも、京本さんの幸せを守り抜く。
それが俺の、いや俺と樹の新しい生きる意味だ。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。